大倉崇裕著。祥伝社文庫。
二人の制服警官が悪徳宗教団体の裏金運搬車を襲撃した！だが、彼らは本物の警官ではなかった。鑑識、盗聴、銃撃など、本職顔負けの技を持つ警察愛好家サークルの一員だったのだ。ひたすらに警察と正義を愛する善良なオタクたちがなぜ強盗を！？さらに現金奪取直後、仲間の息子が誘拐されて…。ハートは本物より熱い異色の「警察」小説、ここに登場。 （裏表紙引用）
文庫で集めているので皆さんよりかなり出遅れております。大倉さんの文庫新刊。いわゆる警官ものではなく、警官の制服を着たり警官グッズを収集したり捜査道具について詳しかったりという「警官マニア」グループが事件を解決する、という一風変わったミステリー。
あまりファンの評判も良くないし、ネタ的にもそそられない感じだったので期待せずに読むと面白かった。ここで言う面白かったというのは、読みやすいしお話がわかりやすかった、という意味以上のものではない。堅苦しい本やノレない本の後に読むとすがすがしく、通常より２割増しで面白く感じただけだろう。ノリが良いのだが笑えるというほどでもなく、誘拐を扱っている割に緊迫感がない。趣味の個性的なキャラクターばかりが登場するが、掘り下げ切れていないので深みもない。偽警官であるがゆえの有利な点や親しみやすさが表現出来ていることだけがポイントだろうか。特別好きなキャラクターが居なかったのは大きいかな。たいしたことではないが、女性キャラ＝やさしい、という刷り込みはここでもどうにかならないだろうか。
まあ、考える事がいっぱいあって集中出来ない時とかには向いている楽しい本ではないでしょうか。後に残るものはほとんどありません。
（４３３Ｐ／読書所要時間３：００）
