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Story Seller 2  (ねこ3.9匹)

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沢木耕太郎伊坂幸太郎有川浩近藤史恵佐藤友哉本多孝好米澤穂信著。新潮文庫

お待たせしました!!大好評アソンロジー第2弾をお届けします。日本作家界のドリームチームが再び競演。今回もオール読み切りで、読み応え満点。どこから読み始めても、他では経験できない読書体験が味わえます。物語大好きのあなたも、これから読み始めるあなたも、お気に入りの作品が必ず見つかることでしょう。著作リストも完備して、新規開拓のガイドとしても最適です。(裏表紙引用)


文庫になるのが早すぎてびびった。豪華絢爛の作家陣がお送りする「Story Seller」、新潮社アンソロジーの第2弾。第1弾と比べ質が落ちたという声をよく目にするが、前作のあのレベルを再び要求するのは酷ではないかと。第1弾は10年に1冊のミラクルだったんだと思う。

「マリーとメアリー」 沢木耕太郎
この方は読んだ事がないのだが、人気作家さんなのでしょうか。よく目にするお名前。
ていうか、エッセイかよ!!^^;;;
なんか純文学っぽくて村上春樹っぽくて最初は好みな感じだったのだが、お話の流れに全く興味を持てず終了。

「合コンの話」 伊坂幸太郎
構成がなかなか面白いが、人物と関係を把握するのが大変だった。伊坂さんらしくて良く出来たお話だし
普通以上に楽しめたのだが、「外見と中身のギャップ」の現し方があまり受け入れられなかったな。最後感動するところなんだろうけど。外見が中身を伴うという法則は必ずしも正解ではないことは知っているが、悪い外見の人は中身がいい、という”敢えて”の表現自体が良い外見の人に対する偏見ではないだろうかと自分は思っている。

レミング」 近藤史恵
サクリファイス」の前日譚。石尾と赤井が登場。エース石尾に起きた事件をクローズアップしているお話で、短いながらもさっくり心に何かを残す良作に仕上がっていると思う。

「ヒトモドキ」 有川浩
不快指数100%の痛いお話だが、ダントツで夢中になって読めた作品。人の形をした化け物である叔母に翻弄される姉と弟。テレビとかで観るゴミ屋敷もモデルになっていて、常識が一切通用しない人物に人生を、生活を脅かされる恐怖が見事に描かれている。が、ラストはせっかくなのでもっと悲惨でも良かったかな。

「リカーシブル--リブート」 米澤穂信
血の繋がらない姉と弟が、日常で経験した不思議な出来事。弟の存在を疎ましく思っていた姉だが、弟が予知能力を持つ事が分かってから心に変化が。。
姉の言葉使いが汚くて不快だった。これが現実であっても構わないが。理不尽な運命を背負う人物を描くのはやはりうまい。

「444のイッペン」 佐藤友哉
またあの女子○生探偵のシリーズ。語り手は助手の土江田。ペット博の臨時アルバイトに雇われた土江田
が巻き込まれた444匹のわんちゃん消失事件。
一番面白くないお話のくせに100ページ以上もある。何度も言うが、ユヤタンはこのメンツに加わらないで欲しい。ミュージックステーションに出る小山田圭吾を見ていられないファン心理と似ている。

「日曜日のヤドカリ」 本多孝好
うわあ、やっぱりこの人好きだなあ。前作も好みだったし、これもツボに入った。血の繋がらない家族の絆を描いているのだけど、あったかいのか毒吐いてんのかどっちだよって感じがたまらない。


以上。
お気に入り順位は、有川>>>本多>米澤>伊坂>近藤>>>佐藤ってところ。
誤解のないように記しておくが、自分はこの中で一番好きな作家さんが最下位。この作家さんが好き!ってだけで盲目的に褒めるということはしないのがゆきあや。
第1弾は4.8匹という高得点を叩き出したので「質は落ちた」のかもしれない。でも、個人的には沢木さん以外は前回並に興奮して読めた気が。。。つまり、あの高得点は今回抜けた道尾さんにほとんど与えられた+αだったってこと?


(523P/読書所要時間3:30)