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蝦蟇倉市事件 2  (ねこ2.8匹)

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秋月涼介北山猛邦越谷オサム桜坂洋村崎友米澤穂信著。東京創元社ミステリ・フロンティア

海と山に囲まれた、風光明媚な街、蝦蟇倉。この街ではなぜか年間平均十五件もの不可能犯罪が起こるという。マンション、レストラン、港に神社、美術館。卒業間近の大学生、春休みを迎えた高校生、会食中の社会人、休日を過ごす教師。舞台も人も選ばずに、事件はいつでも起こっている―。様々な不可思議に包まれた街・蝦蟇倉へようこそ!今注目の作家たちが、全員で作り上げた架空の街を舞台に描く、超豪華競作アンソロジー第二弾。(紹介文引用)


楽しみにしていた蝦蟇倉第2弾。作家陣をざっと見ただけで実は賭け的な予感がしていたのだが、どうやら悪い方向に当たったようだ。世間的には決して悪いものではないらしいのだが、ワタクシは人目を気にして思ってもないことを書くタイプではないので、「参考にするまじ」という前提で色々述べさせていただきたく。


「さくら炎上」 北山猛邦
女子生徒2人を中心とした学園ミステリ。親友の殺人を目撃した少女が、親友のために死体を移動させるというお話。読ませる面白さはあるものの、個人的にこういう青臭い小説は好みではない。倫理的に歪んだものが苦手というわけではないのだが、本作に限っては気持ち悪いだけだった。だが、全てを読了した今、それでもこの作品が一番良かったのではないかと思うのが切ないばかり。

「毒入りローストビーフ事件」 桜坂洋
何も言いたくない。。。どこかで見たお名前だと思って自分の記事を調べてみたら、短編を一作読んでいた。が、そこでもぼろくそに評価していた。。。何度でも思う、この作家さん、プロなのかと。

「密室の本 -真知博士 五十番目の事件」 村崎友
推理小説マニアの少女と、その彼氏が主人公。彼らの先輩のアパートで起きた密室&蔵書消失事件。キャラクターはいいと思う。真知博士の存在も雰囲気に合ってるし。ただ、消失事件の真相は早いうちに見当がついた。こういうどんでん返しも嫌いではない。

「観客席からの眺め」 越谷オサム
この作品を読んだというだけで、この本を予約したことを後悔した。生理的に受け付けない上に納得出来ない状況が重なっている。さらに、この意外性ある真相がある理由により失敗に終わったのではないか。
この作家さんの本、読もうと思っていたのにその気がなくなった。。。

「消えた左腕事件」 秋月涼介
もう真知博士はいいって^^;;;そして、これは「1」のある作品の主人公が名脇役として出ている。
わさびさん、今からでも間に合うなら「1」から読んで下さい^^;(突然の呼びかけ)
左腕消失の真相は盲点だったが、これと言って印象に残りそうにない。そして意外性のある真相がある理由により(以下略)

「ナイフを失われた思い出の中に」 米澤穂信
この中では一番好きな作家さんなのだが、いまいち自分の評価が低い「さよなら妖精」のスピンオフだと知っていたのでそれほど楽しみでもなく。そして予想以上のノレない感。。この人誰だっけ^^;てっきりあの主人公が出てくると思っていたので。「その後」として、あの人のことを思い出しながら読むと感傷には浸れるけれども。ミステリとしてもそれほど特記したいところはなく。


以上。せっかく一番手で廻って来たのに、ノレる作品が1つもないまま終了。
あと、気になった点をネタバレで。↓本書未読の方はご注意下さい。
















越谷さんの作品について。いくら暗闇と言っても、窓が存在し外界に明かりがある以上人間目が慣れてくるものだと思うが。。しかも、体型も違う年齢も違う「好きな」男性と肌を合わせて見分けられないはずはないと思う。。いくら経験不足だって女性が性行為の際に目を閉じるとは言ってもね。

あと、べるさんも言及されているが、「語り手、主人公が犯人」ネタが多すぎる。他所でそれぞれを読めば驚けるのだろうが。犯人の意外性に驚いたんじゃなくて、犯人がワンパターンなことに驚いた。




(323P/読書所要時間3:00)