すべてが猫になる

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騙し絵/Trompe-L'oeil  (ねこ3.6匹)

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マルセル・F・ラントーム著。創元推理文庫

幾度も盗難の危機を乗り越えてきたプイヤンジュ家のダイヤモンド“ケープタウンの星”。銀行の金庫で保管されていたこのダイヤが、令嬢結婚の日に公開されると、警官たちの厳重な監視にもかかわらず、偽物にすり替えられてしまった!誰が?いったいどうやって?第二次大戦末期、本格ミステリ・マニアのフランス人が捕虜収容所で書き上げたという、幻の不可能犯罪ミステリ。 (裏表紙引用)


なんだか作者経歴を見ただけで凄いですな。ランキング本に載っていたのとお仲間さんの書評に惹かれて買ってみた。フランス作家ものだったのねー。ま、フランスミステリって個人的にははずした事はないのじゃが。本書は屋敷の凄い見取り図が付いていたり懐かしの「読者への挑戦」が載っていたりと自分のホームグラウンド系統でありながら、「なんか違う。。。」と思ってしまった。フランスミステリに対して自分が思い込んでいるイメージそのままって感じ(=キャラクターの日常の言動に不可解なものが多い、構成も手法もちょっとだけ変なつくりになっている)。

そしてこの登場人物紹介一覧の迫力。なんと、表紙裏の両面に渡っている。。。最初見た時、こうやって分けているのには騙し絵的な深い意味があるのか!?と勘違いしてしまっていた^^;単に人数が多くて片面に入りきらなかっただけ。ま、フランス名って長いから仕方ないわねー。そうそう、何が面白いって、国籍バラバラの警察官が五人出てくること(笑)。ノルウェー人、ドイツ人、イギリス人、イタリア人、日本人。なんか意味あるのこれ?と思っていたら、いやいやこれがまたうまい使い方をしている。トリックも凝っていて良いし、時間と人の行動を細部まで検証していてなかなか優れた作品。


(324P/読書所要時間3:00)