すべてが猫になる

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ダイニング・メッセージ  (ねこ3.8匹)

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愛川晶著。光文社文庫

見合いの話が断れなくて困っているーー。何と、見合い相手のシチューに混入したビー玉が原因だという。相談を受けた刑事・桐野は行き詰まり、美少女代理探偵・根津愛がその問題の解決に挑む。その後も、絶対嗅覚を持つ女、”食人鬼”からのメールと、難題の数々……。そのうえ、さらなる大きな企みが!日常の謎を鮮やかに解明。根津愛が活躍する究極の”事件”。(裏表紙引用)


美少女探偵シリーズ2冊目~。
多分、第4弾くらいかな?キリンさん(桐野)視点の連作短編集。

8歳の愛ちゃんに一目惚れをして以来一途に想い続けているというキリンさんに吐き気がした前作(笑)。なもんで大丈夫かな~、と思ったがやはり大丈夫じゃなかった。別に年の差恋愛は悪くないけどさ、いくら作り事でも笑える事と笑えない事があるのさ。ロリコンにしか見えないし、一般常識的にタブーの領域だよね。別に「天才」美少女が博識であったり料理上手であったりするのは構わない。だけど、懐石料理やフランス料理がプロ以上の腕前だったり、カニバリズムに異常に詳しかったりするのはやりすぎじゃないか。いくら父が料理人で片親であってもさ。あと、今回のダブルヒロインである靖香さん。処女で天使のような心を持っていてこりゃまあそれはそれは清楚な大和撫子なのさ。
悪いけど、キャラがかなり痛い。


・・・が。
ミステリとして読むに専念すると相当面白い。すべてが小さいとは言えない問題を扱いつつ、犯罪一歩手前で事件の発生を防ぐ愛ちゃん。これこそが正真正銘の探偵の理想像だろう。キリンさんのお見合いを奨励しているように見せながら、さらりと陰で自分の気持ちを表現している不器用さもいい。それをミステリに転用している愛川さんの手腕もまたいい。一話一話は平凡かもしれないが、それを続けて読んだ後に見えてくる答えはもっと賞賛に値されてもいいはずだ。
そして何より、ネコマンガがかわいい。

(402P/読書所要時間3:00)