すべてが猫になる

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A型の女/Ask the Right Question  (ねこ3.7匹)

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マイクル・Z・リューイン著。ハヤカワ文庫。

お願い、わたしの生物学上の父を探して―。閑散としたオフィスに突然飛び込んできた少女にサムスンは面食らった。大富豪クリスタル家の一人娘が、血液型から自分は実の子ではないことが判明したと涙ながらに訴えるのだ。さっそくクリスタル家の系譜を探り始めたサムスンは、こころならずも名家の巨富をめぐる醜悪な争いに巻き込まれてゆく。暴力を憎む心優しき知性派探偵アルバート・サムスン、文庫初登場。改訳決定版。 (裏表紙引用)


マイクル・Z・リューイン2冊目の挑戦は、リューインの顔である私立探偵アルバート・サムスンシリーズ。これが第何弾なのかはわからない^^;一番の代表作なのかな?ハヤカワ文庫の第1弾ってそういう出し方するよね?

いやあ、ネオ・ハードボイルドいいですなあ。
アルバート・サムスンのキャラは立っているのか立っていないのかよくわからない。そういう所が逆に読みやすかったりして。言えばいい意味であまり個性がない。女好きでもなく、争い事が嫌い。強引でもないが行動力がある。留置場に入れられたかと思ったら機転で切り抜けたりと、器用というより行き当たりばったり。それが上手く行くんだからさすがというか何というか。別れた奥さんと娘がいるあたりは元祖ハードボイルドっぽいけれど。

なんとな~く捜査方法も素人に毛が生えたような感じのやり方で面白い。禿頭の男性にかつらのセールスマンを装った電話をしたり(笑)、書類目当てに忍び込んだはいいものの脚立を忘れたり、ユニークです。依頼人が少女という事もあってか、暴力的な要素もなくほのぼのとしている感じ。

だからこそ、この事件とも呼べない事件の真相が悲劇的で驚いた。血なんか流れない作品だと思っていたのに。そうか、だからこそサムスン依頼人に嫌がられても捜査を独自で続けていたんだなあ、と。
途中まではおせっかいで出しゃばりだと思っていたけれど、これが天才の勘ってやつか。

うーん、マイクル・Z・リューインやっぱり面白いぞ。ハードボイルド好きよりミステリー好きに好まれそう。見つかった順に読んで行きます。

                             (353P/読書所要時間3:00)