すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

ハートシェイプト・ボックス/Heart-Shaped Box (ねこ3.6匹)

イメージ 1

イメージ 2

ジョー・ヒル著。小学館文庫。

ロック界のかつての大スター、ジュード・コインには異様なるものの蒐集癖があった。ある日ネット・オークションで落とした「幽霊の取り憑いたスーツ」が届くと、怪事が起き始めた。現れた老人の幽霊は、かつてジュードが捨てた女の義父だという。復讐に燃える怨霊から逃れるジュードと愛人の逃避行が始まる…。むかしの女がいた街へひた走る恐怖に満ちた旅は、これまで生きた人生に対峙する旅路でもある。デビュー作で、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞ほかを受賞した、アメリカン・モダンホラーの新たな才能が、小学館文庫で刊行開始。 (裏表紙引用)


長編は読まないと思っていたのだけど、ネット本屋うろついてたら欲しくなってカートにポチしてしまいました。自分は名盤「ネヴァーマインド」しか持ってないので気付かなかったのですが、ニルヴァーナの曲タイトルから取られたものだそうです。そのタイトルセンスからも分かる通り、作者のヒルはかなりのロック好き。作中にもメタリカフー・ファイターズナイン・インチ・ネイルズモトリー・クルーなど等ロッカーならお馴染みのバンド名がそこかしこに挿入され、作風に彩りを添えています。ロックホラーだなんて解説で言われてますね^^;

さて、内容ですが。
モダンホラーというよりゴーストストーリー。正直言うと、あまり怖くありません。時々暴力的なシーンが挿入されるものの、幽霊そのものがそんなに描写が怖いかというとそうでもない。登場人物が600ページという文量のわりにかなり少ないので、幽霊から逃亡して行く章あたりから若干退屈な感は否めません。キャラクターの生命力、躍動感、個性はかなり感じるのですが。
元々設定しているネタそのものが良いので、印象的なエピソードとエピソードのその間というのか、そこが無駄なようにも思えます。

しかし終盤、ミステリ的な転びを見せ、物語は加速して行きます。幽霊との対決や現実に起きたトラブルの対処などなど、盛り上がりましたね。個人的にはかなり哀しい要素もあったのですが、最終的には満足して本を閉じる事が出来ました。感情移入してないと思ってたのになあ。この纏め方なんて特にホラーじみてはいませんよね。作者は元々、純文学から描き始めたそうですから(やっぱり!)ホラーが必ずしも本領にはならないかもしれません。


さて、この凄まじい表紙についてですが^^;
注文した時の画像と大違いのものが届いてびっくり。怖いっちゅーねん!家にある本で一番怖い^^;
作風的に、上の方の表紙の方が内容にも合ってる気がするのよね。

※作者は、やはりスティーヴン・キングの息子である事を意図的に隠していたそうです。