すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

不変の神の事件/The Case of the Constant God (ねこ3.8匹)

イメージ 1

ルーファス・キング著。創元推理文庫

「これは殺人じゃないわ。処刑よ」リディアは宣言した。娘を自殺に追い込んだ憎き恐喝者が、いま残された家族の前で息絶えたのだ。彼らは死体を処分しようと画策するが、事件は早々に警察に知られてしまう。一方、通報を受けたニューヨーク市警のヴァルクール警部補は着実に彼らの跡を追う。だが、事件は意外な相貌を見せ始めるのだった。知られざる名手のサスペンス溢れる代表作。(裏表紙引用)


これが隠れた名作なのか、代表的なミステリの傑作なのかは分かりませんが自分には大当たり。
オールデン家とトッド家の共謀した犯罪を目撃するチェスターの視点でプロローグが始まります。車の人と人の間に死体を座らせるというのが衝撃。普通トランクに詰めない?この時間まで生きていると思わせたかった、という場合なら別だけども。
その衝撃のプロローグから一転、時間が逆行し、事件の推移が明らかに。実は、文化の違いなのか最初は彼らの心理や行動、社会的な通念がいまいち理解しづらく、お話が理解しにくかったのです。が、徐々に入り込んでしまいましたね。展開がテンポよく進むので。もう少し変わった内容なのかと思いきや(タイトルで、なんか哲学的な要素があるのかと^^;)作りは普通のサスペンスでした。

凄いなと思ったのは、古い作品なのに自分が普通に犯人にびっくりしたこと^^;これは構成のうまさなのか?覆い隠すのがうまいというのか。恐喝の事実や、俳優の行動、リディア達の恋愛など注目すべき要素に引き込まれて、見事ひっかかってしまった感じ。神の視点なのが功を奏して自分がどの立場で事件を読んでいるのかがはっきりしないのも良かったんだと思う。

かなりお気に入り。もう一冊短編集を持っているので、それはそれで楽しみではあるのだけど。。調べたら、これとその短編集しかヒットしなかった。他に翻訳されている作品ないのかなあ。解説を読むとなんだかそそられる作品があるのだけど。。どなたか、情報ありましたらお願いします。