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四隅の魔 死相学探偵2  (ねこ3.6匹)

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三津田信三著。角川ホラー文庫

城北大学に編入して“月光荘”の寮生となった入埜転子は、怪談会の主催をメインとするサークル“百怪倶楽部”に入部した。怪談に興味のない転子だったが寮長の戸村が部長を兼ねており居心地は良かった。だが、寮の地下室で行なわれた儀式“四隅の間”の最中に部員の一人が突然死をとげ、不気味な黒い女が現れるようになって…。転子から相談を受けた弦矢俊一郎が、忌まわしき死の連鎖に挑む!大好評のシリーズ第2弾。 (裏表紙引用)


第1弾ですっかり皆さんに引かれてしまった死相学探偵シリーズ、待望の(?)第2弾です。ゆきあやさんは”ホラー・クイーン”と名付けられてはいても、”ホラーならなんでもいいクイーン”のほうなので
とりあえずですがこのシリーズ、自分はそこそこ気に入ってます。作風的に、キャラクターの動向や成長を楽しむ種類のものではないと思うので、このレベルのまま続いてくれればずっと気に入り続けていられるのでは、と思わなくもないですね。

前回とあまり雰囲気も文体も変わっておりません。嘘のように読みやすい文章に時折ユーモアを挟み、怪談をモチーフに論理的帰結をみせる、というタイプのもの。ユーモアうんぬんさえ抜ければ本来のホラーとミステリーの融合を持ち味とした三津田さんらしい作品と言えるでしょう。怖くないと言えば怖くないのですが、有名な怪談である”四隅の間”実演のシーンはやっぱり怖い。真の闇の緊迫感が伝わって来ますね。ただ、やっぱりここは三津田さんのオリジナルのお話でストーリーを作って欲しかったなあ。怪談にお詳しい三津田さんが敢えてこういう有名なものを持って来たのは、マニアックさをこのシリーズでは抑えようと配慮されたのかしら。。
キャラクターについても、前回同様。死相学探偵の弦矢が前にもまして平凡になっているようで残念。死相が視えるという設定をかなり自分は気に入っているので、主人公よりおばあちゃんの方がインパクトがあるってどうなのよ、と思わなくもなし。面白いけどさあ。

全体的にはミステリ部分も含めてなかなか楽しめました。しかし、最後に出て来たデブねこが気になるなあ^^;;