すべてが猫になる

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探偵を捜せ!/Catch Me If You Can (ねこ3.7匹)

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パット・マガー著。創元推理文庫

病弱な夫を殺して、金と自由を手に入れようとした美貌の若妻。だが、殺人を決行した夜その山荘を訪れた四人の客のなかに、夫が死ぬまえに呼んだ探偵がいるらしい。妻は探偵を捜し出そうと必死の推理を展開、これと目星をつけたひとりの男を殺してみるが、探偵はまだいなくならない。さらに、つぎの人物をーー。ミステリの定石をやぶって犯人が探偵を捜す、異色の本格推理小説!(裏表紙引用)


うはうは。おいらの好物、悪女ものです^^
財産目当てに夫を殺す妻(まあ、かなりイヤな夫ですがしかしそれにしても)というありふれたパタ-ンですが、これが単なる倒叙ものではないから面白い。予防策として殺される前に探偵を呼び寄せる夫っていうのもよく考えたら凄いですが^^;
さて、夫を殺した妻(マーゴット)の山荘に、手違いでやって来た4人の男女。それぞれ職業も性格もバラバラで、マーゴットの目から見ればどいつも怪しい。お粗末な推理で思い込みが激しく、すぐに殺人に手を染めてしまうのが恐ろしい。。冷静な判断力がない事に気付かず、自分を完全犯罪者だと驕ってしまう様は格好良くもなんともなくただただ哀れ。最初はどこかに同情の余地のある女性なのかもしれない、と思っていたけれども、だんだんあほらしくなりました。だいたい、綺麗な服や優雅な食事の為に殺人に走ったというのに、追い詰められると死刑だけは嫌だの命だけは助かりたいだの、気付くのが遅過ぎるんじゃー。最初からしなきゃいいのにね。悪女ものなら、最後までスタイリッシュにキメてもらいたいもんです。

結末はこれしかない、と思った通りなのだけど、わりと救いようのない意外な展開。「七人のおば」には敵わないけれど、読ませる面白さは変わりがないねえ。奥付の1961年初版発行、に今更びっくり。