すべてが猫になる

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ファンタズム  (ねこ2.5匹)

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西澤保彦著。講談社文庫。

「ぼくはきみを殺した。ついに、というべきか。それとも、やっと、というべきなのか。リサだけでいいのか、殺すのは?」こうした犯人の思いから幕を開けた印南野市の連続女性殺人事件。犯人は理想の殺人を行い、追う刑事は、故意に遺された指紋と、ある遺留品に翻弄されながらも、犯人を推測するが……。


う~ん、悪いけどちょっと西澤さんの失敗品に当たってしまったかも。。
内容がつまらないわけではないのです。普段の西澤SFミステリの要素も抑えめとは言え残しているし、犯人の一人称で描かれる章は不気味で惹き付けられる。狂人の描いた偉大な犯罪計画に加え、大きな謎が隠されているぞ、というドキドキ感は味わえる。
だけど、作者の狙いはわかるけど駄目だったというハズレ感よりも作者の狙いすらわからないまま終わってしまった感の方が強いんだなあ。。ビートルズ曲について講釈を垂れる犯人のくだりも、刑事達が言うほどおかしな事は言っていない気がするし、キャラ設定からして不完全な印象も。
これをどう修正すれば良くなるのかもわからない、最初からテーマに形がしっかり用意されてなかったんじゃないか。おつ。