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叔母殺人事件 偽りの館  (ねこ3.6匹)

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折原一著。講談社文庫。

煉瓦造りの洋館で起きた驚くべき殺人事件。屋敷には底意地の悪い実業家の女主人とその甥が住んでいた。叔母の財産を狙う甥の殺人計画はいかに練られていったのか。その手記を入手するため、取材者の<私>は屋敷に住み込み、事件を追体験していくーーそして明かされる衝撃の真相!!名手の叙述ミステリー。(裏表紙引用)


久々に折原さん。本屋で『叔父殺人事件』を見て面白そうだと思って指をくわえていたら、その前にこの『叔母殺人事件』というのがある事を知りこちらを入手。さすが折原さん、とうとうあらすじ紹介にまで”叙述ミステリー”と書かれるようになりました。そこ隠さないんだ、ふーん。

相変わらずホラー風味漂う雰囲気、策を弄する個性的な登場人物、退屈させない奇抜な展開、ベテランの手腕は衰えを知りません。ベタさの方も相変わらずでしたが、折原さんに関しては楽しみどころはそこではないのでまあいいでしょう。
それにしても、さすがに今回は折原さんの仕掛けた罠の8割方は見抜けましたな。だいたいにおいて折原作品の読み方というのは誰かと誰かが同○人○、とかこれはダレダレと思わせて実は、というパターンを学習すればほぼそれが当たり。作品によってはさらに伏線をばらまいてひっくり返してひっくり返してのサプライズが用意されていたりするけれど、今回は結構普通に一回くらいでひっくり返しは終わり。ただ、叔母さんの個性は強烈すぎる為物語的にはかなり楽しめるのでプラマイ0かな。

なかなかの良作では。早く『叔父』の方も手に入れなきゃ。