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ただ雪のように  (ねこ2.6匹)

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新津きよみ著。光文社文庫


兄夫婦が交通事故で死んだ。十年前、家出同然で単身ニューヨークへ渡った高森真琴は、一人残された
姪と暮らすために帰国する。”雪のように色が白い小さな白雪姫”、小雪と名付けられた赤ん坊は
十二歳。人眼を惹く美少女に成長していた。その姿を思春期の自分と重ね合わせた真琴は嫉妬を感じて
……。おとぎ話をテーマに家族の絆と女性心理を描くサスペンス。(裏表紙引用)



まめちしき。この新津きよみさんは折原一氏の奥さんです。
というわけで、すべ猫初登場の新津さん。昔ちょっと好きになって数冊読んだのだけど、割とハズレの
ない作家さんという記憶が。とにかく読んでいて面白い。男性が読むとピンと来ないかもしれないが、
女同士の醜い競争心や嫉妬、建前と本音のコミュニケーションをあからさまに描くのが本当に巧い。
文章が平易なのでちょっと気軽に読もうとすれば思わぬ怪我をするかも。

本作も、「なんでこんな面白い本を3年以上も積読してたんだ!」と思いながら、真琴と小雪
攻防戦にハラハラしつつ、ニヤニヤしておりました。端から見たら自主的に小雪の母がわりとなり、
家庭教師の役まで買って出た真琴。芸能界に興味を持ち始めた小雪に対し、徹底的なまでの
洗脳と防御策を打ち出します。「今は勉強が大事な年」と言う正論を盾に、女ざかりを過ぎてしまった
自分を自覚しながら苛酷なスケジュールを強制する様は鬼のよう。


「どちらも正しい」世代を超えた価値観にどう折り合いを付けるのか、がテーマのお話なのかと
興味深く読んでおりましたが。
・・・急にミステリーになりました。中盤を過ぎて突然殺人事件が起こりました。。。
それからはバタバタバタ、と謎が解け。

終わりました。。

え~と。。。テーマは?(ーー;)
一応、なんだかんだで丸くおさまりました、てな具合にはなっているけれど。。。小雪ちゃんが
あっさりしすぎてるし、真琴も本当にアナタわかったの?としか感じられない。
深いテーマを浅く限られた文量の中でまとめきるというのも技術なのか。とりあえず中盤まで
面白かっただけに、ただただ色々な事が不満です。