すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

あわせ鏡に飛び込んで  (ねこ3.7匹)

イメージ 1

井上夢人著。講談社文庫。
   
幻の名作「あわせ鏡に飛び込んで」をはじめ、瞬間接着剤で男をつなぎとめようとする女が出てくる「あなたをはなさない」、全篇、悩み相談の手紙だけで構成されたクライムミステリー「書かれなかった手紙」など、選りすぐりの10編を収録。精緻に仕掛けられた”おとしあな”の恐怖と快感!<文庫オリジナル>(裏表紙引用)


今月の講談社文庫新刊だよー。本当は「おとしあな」というタイトルで出版される予定だったんじゃないかな。。予告とタイトルが変わってるもん。
文庫オリジナルという事で、様々な雑誌に掲載された作品ばかりを集めたもの。表題作だけは聞き覚えがあって、なんか凄い装丁で出てたやつじゃなかったかな。。

内容は、”意外な展開”という共通点を持ったミステリー。どこか怖くて、意味不明で、ホラーのような趣き。こういうのは大好きだー。結局一編目の「あなたをはなさない」というお話が一番好きだったな。別れ話を持ち出された女が、持っていた接着剤で自分の手と彼の手をひっつけるという^^;「はなしたくない」って物理的な意味なのか?^^;おお怖い。
二人の男女が計画的にある男を殺して、という「ノックを待ちながら」も怖い。協力していた女にさらに疑いを持つ、というのはありがちな展開だけども。結局、悪い事をしていたらキリがないし、自分に跳ね返ってくるんじゃないかな。オチがわからないようになってるけど、どうなったんだろう^^

中には、一昔前のパソコン通信(夢人さんお得意の)を扱ったものも。夢人さんは時代の古さを気にしていらっしゃるけれど、一般の人には十分「すげえ」という内容だと思うのだが。。
表題作の「あわせ鏡に飛び込んで」は、ジグソーパズルとミステリーの融合を狙ったもの、らしい。普通に読むと普通だったかな^^;結構画期的な試みが為されているのかなー、と思ったのだけど。

まあ、さくさく読めるし全体的に好みだったので楽しかったです^^意味がわからないものはなかったし、井上デビューにもコレはお薦めかも。本領発揮、というわけではないかもだけど。