小山正:編。宝島社。
『このミステリーがすごい!』の人気コーナーから、歴史的アンソロジー誕生!
霞流一、鯨統一郎、鳥飼否宇ら、『このミス』常連組の最新作。ミステリー界の重鎮、辻真先の
奇想天外な怪作。山口雅也が独自の感性を爆発させた異色ハードボイルド。戸梶圭太の痛快写真小説。
日本を代表するシャーロキアン、北原尚彦のホームズ・パスティーシュ。船越百恵のユーモア中編。
WEB上で話題沸騰中、かくたかひろの新感覚ショートショート。
実験&遊戯精神にあふれた怒濤の作品群。
アンソロジーって読むの2冊目ってくらい読まないんですが、先日べるさんがこの記事をアップされて
いて、面白そうだったので読んでみました。小山さんがバカミスの定義を自分なりにまとめた<序文>
はなかなか説得力がありバカバカしく、熱意にあてられたのか妙に共感出来るものばかり。
(9)の”時と場合によっては、失敗作も評価しよう”には笑ったが、例えに「98%は大傑作だが、
ラスト2行で力つきた島田一男の『黒い花束』がこれにあたる。」にもっと笑った。ラスト2行、
読みに行こうかな。。
「半分以上読んでも何の話がわからないほどプロットが爆裂しているレイモンド・チャンドラーの
『かわいい女』」も気になってしまう。(多分読まんが)
本当に自分が読もうと思ったのは「爆笑密室トリック」というジョン・スラディックの『見えない
グリーン』かな。
まあ、小山さんも自分が思うバカミスを選んで収録したというより、ご自身がバカミス先生と
あがめる作家諸氏に原稿を依頼した企画だというから、これはバカミスかどうか、の判断は
読者にまかせてもらえる、と解釈してもよろしいようで。
『長編 異界活人事件』辻真先 ゆきあや的バカミス度★★☆☆☆
初めて読む事が出来ました。天国でのドタバタがなかなか愉快だし、オチが大胆で宜しいですな^^
これよりも、『ガラスの仮面殺人事件』とか他の作品が気になります。
『半熟卵にしてくれと探偵は言った』山口雅也 ゆきあや的バカミス度★☆☆☆☆
『モンスターズ』収録。こないだ読んだばっかりなんで感想は割愛します。
これはバカミスじゃないよ。。
『三人の剥製』北原尚彦 ゆきあや的バカミス度★☆☆☆☆
ホームズのパスティーシュです。ホームズと言えばコレ、という小道具が出て来るのは当然なの
ですが、それで何?という印象でした。こういうのバカミスって言うのかなあ。笑えないんだけど。
ただ、犯人が最後にホームズへ残した台詞が面白かったかな。
これなら、本家の『赤毛連盟』とかの方がよっぽどバカミスだと思う。
『警部補・山倉浩一 あれだけの事件簿』かくたかひろ ゆきあや的バカミス度★★★★☆
ショートショートですが、これはタイトルからしてインパクトありましたね!こういうのが
読みたかったのよ~~^^ゆきあや大阪の子だし、要はツッコミたいわけ。
ラストのオチがもっとキレが欲しかった。残念!
『悪事の清算』戸梶圭太 ゆきあや的バカミス度★★★★☆
写真漫画をバカミス風に。衝撃と言えば衝撃すぎるくらいなのだけど、ごめん、これはおいらパス。
『乙女的困惑』船越百恵 ゆきあや的バカミス度★★★☆☆
なかなかの力作ですね。女性がこういうおげれつなものを書かれたというのがまず衝撃^^;
ナニに瓶をはさんだ老人がイカす。。。^^;
これ、短かったら絶対嫌いなタイプのユーモア系ミステリだったのだけど、だんだん良さが
わかって来ました。最後のドタバタが美しいね。トリックも良かったし^^
『失敗作』鳥飼否宇 ゆきあや的バカミス度★★★★★
我らの鳥飼さん。お話自体がまったく面白くないのでびっくりしてしまいましたが、最後まで
読んで鳥飼さんの仕掛けたお茶目な遊びに大ウケ。斬新ではないけど、言ってる事がカワイイと
いうか^^;;脱力系バカミスですかな。
『大行進』鯨統一郎 ゆきあや的バカミス度★★★★☆
広義で言えばミステリーなのかもしれませんが、世界中の探偵が大行進しています。。。。
なんやねんこれはなんやねん^^;;;;;
おいら鯨さんのかくれファンなので大きい声じゃ言えませんが、一番好きかも、これ^^;;
『BAKABAKAします』霞流一 ゆきあや的バカミス度★★★☆☆
隠してませんがおいらは霞さんが苦手なので期待しておりませんでしたが。
さすが有名作家と言いましょうか、おバカなタイトルとは裏腹になかなか真面目にミステリを
楽しませてもらいました。ゆきあやが思っているバカミスに一番近い形かもしれない、これ。
それには何かが足りないのか、何かが過剰なのかわかりませんが。。
アンソロジーなので全作を気に入るのは難しいのですが、なかなか楽しかったですね。
知らない作家さん(?)にも触れられたし、霞さんを見直せたし久々に鯨さん読めたし。
まあ、おいらの定義は「ユーモアミステリー」と「バカミス」は違う!ってことかな。
なんにせよ、どんなジャンルでもそこに愛があって突き抜けるものがあれば素敵だってことね。