すべてが猫になる

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あなたまにあ  (ねこ4匹)

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小川勝己著。実業之日本社


背徳・妄執・恐怖が渦を巻く異空間の彼方に置き去りにされたあなた…あなた。あなた!愉悦に
まみれたあなたの狂気は、どこへたどりつくのか。異能作家・小川勝己があなたに捧げる傑作怪奇
小説集。(あらすじ引用)



きっつぅ・・・・・・・・・。

一時期はまってしまった異色の変態暴力作家・小川勝己氏。そういえば読み残しが結構あったな、
ということで久々に読んでみましたが。こりゃきついわ^^;忘れていた、この作家さんは
こういう作品世界なんだって事を。。
ではわかりやすく、ノックアウトをくらったゆきあやの様子を一編ずつ。


『蝦蟇蛙』
はははわははは。。。
タイトルだけで、読むべきではなかったのに。。昆虫もだけど、両生類はおいら大嫌いなのに。。
まあ、でも、これぐらいのキモ内容なら他のホラーでも有り得る範疇かなと。

『聖夜』
一見、普通の若いカップルが繰り広げる温かいラブストーリーなのですが。
すごく穏やかに読み続けていたのですが。
最後の1ページ。
……この作家さん、ちょっとどこかおかしいんじゃなかろうか。。(褒めてます)
こんなお話にこんなエンディング思いつく人って小川さんの他にいないと思う。。
きつい。ほんとにきつい。やめてくれ。心の底からダークになりました。立ち直れません。

『春巻』
好みで分けると、これが一番おいらがダメージきつかった作品。
夏子のキャラクターもやり過ぎなんですが、主人公美冴が最後で直面する酷い現実には
笑うことしか出来ませんでした。。

『壁紙』
妻と幼い子供に縁を切られたヤクザのお話。
なかなか重厚感のある内容で、悲しさが漂っております。やはり小川勝己、ラストの展開は
優しさのカケラもありませんね。。終わり方は嫌いではないですが。。あああ。。。

諧謔の屍』
女性恐怖症のある男が、ベランダでアロエを育てているというお話。同じマンションに住む
少女との出会いが、彼の運命を変えた。
なんとも自分勝手でやりきれないですね、この男の自己中心的な性格は。。
お食事時には読みたくないオチでした。ははは。。。

『あなたまにあ』
一番印象に残った好きな作品かも。
一人芝居の好きな少女と、それに付き合ってくれる優しいお兄ちゃん。このお兄ちゃんが
考えたシナリオが、実に不気味で。。。
オチはわかりやすいんですが、非常にそれがキレがいいというか。目が覚めるというか。
何が目的なのか、何者なのかがわからないこの状態が恐怖を最大限に引き出していて
素晴らしいと思います。



以上。小川作品では結構好きな方かも(なんだかんだ言って)。やっぱこれぐらいの域に
達してくれてないと、小川さんの存在価値が光らないよねー。
そういえば、短編集って初めてだったかな。またはまりそうです小川さん。