すべてが猫になる

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死者が飲む水  (ねこ3.5匹)

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島田荘司著。講談社文庫。


札幌の実業家赤渡雄造のバラバラ死体が二つのトランクに詰められて、自宅に届けられた。鑑識の
結果、死因は溺死、殺害場所は銚子と推定された。札幌署牛越刑事が執念の捜査で肉迫した容疑者
には、鉄壁のアリバイがある!札幌、東京、銚子、水戸を結ぶ時刻表トリックで猟奇的殺人を解明
する本格長編傑作。(裏表紙引用)



これを薦めて下さった皆様には大変申し訳ないのですが。



ダメなんです…………時刻表ミステリーってほんとにダメなんですわたくし……。。。。

これを読み始めてすぐ、鮎川さんの『黒いトランク』を思い出したのですが、実はわたくし、
『どうしても合わなかった有名傑作ミステリー5選』の堂々の第1位本がソレなんです。。。
(ちなみに2位『樽』3位『生ける屍の死』4位『虚無への供物』5位『歯と爪』)

さらに、被害者のアレを利用したトリックは今の自分が読んでも斬新さがなく、
殺害方法についても前例を知っていたために早い段階で予想がついておりました。
これ、昔読んでたらせめてココはかなり面白がって読めたはずなのだけど。。
肝心の素晴らしいであろう時刻表トリックについては生来のアレルギーの為に
完全に理解出来なかった上、「理解出来なくていいや」という最悪の精神状態に。


ところで皆様が絶賛しておられる”泣き”の最終章なのですが、これは評判通り大変
情に訴えてくる哀しさと物語としての良さがありました。吉敷、御手洗、牛越、一番読者に近いと
思われるキャラクターだからこそ映える場面でしたね。熱血でも変人でもないけれど
平凡である事の幸せも知っていて、被害者や加害者と友人のよう(と言っては語弊がありますが)に
接する事も出来る刑事。うん、気に入ったキャラクターかも。
最終章は読んだ甲斐はありましたが、だから全てを許せるとか全体の評価までも上がる、
という展開にはなりませんでした。だっていくらなんでもそこまでが自分がノレなすぎ^^;


感じの悪い記事でお許しあれ。。『火刑都市』に期待。