すべてが猫になる

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RED RAIN (ねこ3.5匹)

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柴田よしき著。ハルキ文庫。


二十一世紀の初頭、宇宙から飛来したD物質による感染者「Dタイプ」は、全世界で増え続けていた。
全身から青白い光線を発し、超人的なパワーで人間に襲い掛かり血を吸う彼らは、まるで吸血鬼の
ようだった。世界的なプロジェクトのもとに、感染者を<保護>する特別警察官シキは、ある日
感染者である一人の女性を射殺するのだが……近未来を舞台に、人類の進化の可能性を問う、SFラブ
ストーリーの傑作!(裏表紙引用)



柴田さんのSF小説を初めて読みました。
うん、意外と言っては失礼ですが設定が細やかで無理がなく、フィクション的な面白さが十分に
盛り込まれていて面白かったです。これだけのものをコンパクトにまとめているのも素晴らしい。
主人公のシキの背景も練られていて行動や発言に説得力があるし、クールで職務に忠実で
ありながら子供を愛護する気持ちや一人の男性に惹かれる人間的な一面もあり、好感が高いとまでは
言いませんがなかなかしっかりとした作りですね^^。

2041年の日本という設定なのですが、近未来果たして酸性雨や温暖化問題はここまで深刻に
なっているでしょうか。想像すると恐ろしい。。
ドラえもん』によると、2000年タイムマシンかタケコプターはもう完成されているようです^^;
近未来を描いたSFで陥りがちなパターンでしょうか。北斗の拳のにせんえっくす年とかいうやつは
どうだったかな。。
40年後吸血鬼は出ねえだろ、と言う話じゃないですよ^^;
極端な未来図を提示する事によって、今ある問題に目を向けさせるこの手法はありがちかも
しれませんが、そこに恋愛のエピソードを絡ませてメッセージを伝えやすく、楽しみやすく
している所が良いですね。結局SF作品としては軽い印象はありますが、どんな境遇、環境に
いようとも自分を貫く精神や他人の為に犠牲を厭わない面の真っ直ぐさは伝わって来ました。

一つだけどうでもいい疑問。平成生まれの日本人の名前なのに「ジュ○コ」「○ルエ」という
昭和的なものが多いですね^^;;