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覆面作家は二人いる  (ねこ4.3匹)

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北村薫著。角川文庫。


姓は<覆面>、名は<作家>ーーー本名・新妻千秋。天国的な美貌を持つ弱冠19歳の新人が
ミステリ界にデビューした。しかも、その正体は大富豪の御令嬢……ところが千秋さんには
誰もが驚く、もう一つの顔があったのだ!?『推理世界』の若手編集者、岡部良介を混乱させ
ながら、日常世界に潜む謎を鮮やかに解き明かすファン待望のシリーズ第1弾。お嬢様名探偵、
誕生!(裏表紙引用)



このシリーズも凄くいいじゃないか!!!
「円紫さんと私」とはまた趣きが違って、こちらはユーモア色が強いんですね~。
いやあ、お嬢様が「へ~んしん」した瞬間、おいら多分良介と同じくらいのテンションで驚いて
ました^^;;このネタ、目新しくもないはずなのに最高だぁ。

良介が初めて豪邸に訪れて、「執事でございます」と自己紹介した赤沼さん。
「<本物の?>ときき返したくなった。」が最高ですね^^わかるわかる^^;
兄の名前が「優介」というのに対して僻みを見せる良介、「可介や不可介じゃなくて良かった」
というくだりも大笑いです。なんだよ不可介って^^;;

お嬢様は一見小憎たらしく描かれているのだけれど、随所でモラルをきっちりと守っている人柄が
わかるのがまたいいですね。良介目線で描かれているので、「なんで知ってるんだ?」とも
思えるのだけど、これが恋の力なのかねえ。。そうそう、多少お行儀が悪くても変人であっても、
優しさが見える。関係ないけど、おいらが「結婚したいタイプ」を聞かれた時、最近は
「この年になったら清潔でさえあればもう見た目はどうでもいい。仕事が真面目で他人に対する
最低限の優しさとか常識があるひと」と答えたりします。いや、いっぱいいそうですけど、
そうでもないんですよこれ。


で、こちらのシリーズも日常の謎系ということですが。うーん、きっちり一、二級の犯罪を扱って
いるような。本屋の本の一部が上下逆になっている!とか隣室から毎晩9時に犬の鳴き声が
聞こえて。。とかではないですからね。
ただ、扱い方がソフトです。その動機が間違った優しさや嫉妬から来ているものが多く、
そのアフターケアが素敵です。


いやあ、実は何年も前にこれの3作目を読んだ事があるんです。全く内容を覚えていないですし、
それほど感銘を受けなかった記憶があるんですが。読む時期の大事さを感じた1冊でした^^