すべてが猫になる

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パワー・オフ  (ねこ3匹)

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井上夢人著。集英社文庫


高校の実習の授業中、コンピュータ制御されたドリルの刃が生徒の掌を貫いた。モニター画面には、
「おきのどくさま……」というメッセージが表示されていた。次々と事件を起こすこの新型ウィルスを
めぐって、プログラマ、人工生命研究者、パソコン通信の事務局スタッフなど、さまざまな人びとが
動き始める。進化する人工生命をめぐる「今」を描く。(裏表紙引用)




先日読んだ「クリスマスの4人」でも思ったのですが、井上さんの作品は最初「ホラーか^^!」と
思ってしまうんですよね。この作品の場合、コンピュータが人格を宿し悪意を持って人間どもに
制裁を……という物語じゃないか、と考える人は少なくないんじゃないでしょうか。
読み進めればすぐに自分の勘違いに気付くので入り込めない、という事にはなりませんが。
しかし、やはり多少時代の古さは感じられるものの、今読んでも十分面白く引き込まれて行けるのは
凄い手腕です。時代が古いと言ったのと逆に、先日ウィルスでの逮捕者が出たというニュースを見た
自分はこの先見の明に震えますね。ちょっと問題がズレますが、ネット上の匿名性を利用した
悪質な書き込みや暴言の飛び交うコミュニケーション(掲示板など)もなんとかならないもの
でしょうか。。。人間がやっぱり一番怖いよ。
しかしこの作品のラストのような皮肉なものは嫌いではありません。
人間が生み出したものに振り回されたくないですよね。

トータル的に言えば、苦手分野だったのでこの長さが自分向きではありませんでした。