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消える総生島  (ねこ3.7匹)

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はやみねかおる著。講談社文庫。


万能財団が総力を挙げた映画ロケに招待された亜衣たち三姉妹。呪われた事件は必ず起きると
脅かして、名探偵夢水清志郎も総生島行きのクルーザーに乗り込む。撮影は快調。だが鬼伝説の
孤島に取り残された一同に忍びよる不気味な事件。人も山も館も島までもが消えた!
<名探偵夢水清志郎事件ノート>シリーズ第3弾。(裏表紙引用)





正直、半分以上は「息抜き」用に楽しみにしているこのシリーズ。そんな自分が語るのは
おこがましいが、お許しあれ。
本書も設定、トリック共にいつも通りの「ミステリの基礎」を下敷きにした緩めの本格ミステリ
だけどなんだか色々思う事があった。いや、別に
深い考察をしたとか我が人生に思いを馳せたとかじゃないけど、「言い返せないなら自分も
それほどわかっちゃいない」……のかもしれない、って事。
読者の年齢対象を常に考慮して作家の様々な引き出しを放出するのも素敵だが、はやみねさんの
対象に自分が寄って行くのでないこのスタンスはやっぱり魅力だ。本来、大人向け作品の
『赤い夢の迷宮』で書くべき内容だが、あの時はまだそこまで思い至っても自分なりの
表現で文章に残す事が出来なかったのだ。
作家の挑戦も尊いが、それが全ての正解ではないだろう。実際、自分がいつも批判的意味でなく
ユルいと言うトリックは「自分がどこかで知っていたもの」
「意図的な効果がありなんとなくわかったもの」に限定されているからだ。今回、ある一部分に
ついては自分には目新しいものだったので素直に楽しめた。それだけの事で私はユルいという
表現を使えなくなる。自分はただちょっと人よりミステリを読んでいる数が多いだけの読者だ。


ところで、はやみねさんはどの作品も、キャラの口を借りて氏自身の言葉を作品に
注入されるが、今回初めて「はやみね氏=夢水清志郎」という図式に気が付いた。。
だから、夢水氏を今回初めて「カッコイイ」と思ったんだよ^^;
あ、最終章限定で。