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ミミズクと夜の王  (ねこ3.7匹)

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紅玉いづき著。電撃文庫


魔物のはびこる夜の森に、一人の少女が訪れる。額には「332」の焼き印、両手両足には
外されることのない鎖。自らをミミズクと名乗る少女は、美しき魔物の王にその身を差し出す。
願いはたった、一つだけ。「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」死にたがりやのミミズクと、
人間嫌いの夜の王。全ての始まりは、美しい月夜だった。ーーーそれは、絶望の果てからはじまる
小さな少女の崩壊と再生の物語。
第13回電撃小説大賞<大賞>受賞作。(裏表紙引用)




べるさん宅で知った本。結構な話題書のようで、本屋の「ハードカバー平積み」本と
「ハードカバー平積み」本の間になぜかぽつんと文庫のお薦め本として平積みされていた。
助かった^^;ずっと買うつもりが作者とタイトルがうろ覚えだったの^^;
ライトノベルを積極的に読んでいる訳でもないけれど、「ライトノベルは表紙がねえ。。」と
いうタイプの人よりは多少フットワークは軽いつもり。おっと、ちなみに本書はご覧の通りの表紙
なので買いやすいぞ。


感想は、ずばり「とってもいいお話でした!」に尽きるな。
幻想的な雰囲気が設定の重たさに勝っているのでそれなりにお洒落な文学としてさらさらと読める。
さすがに解説の有川浩さんのようにボロ泣きもうるうるもしなかったけど。
ミミズクがどうして自分の呼び名をそう付けたのか、ここには書かないけど、
よっぽどじっくりコトコト筋を暖めて閃いたものか、生まれ持ったセンスを発揮して
流れるように世界を作り上げて行ったのかはわからないが相当の技量を感じる。
ミミズクの「現代の病んだ若者」を彷彿とさせるキャラはライトノベルではお馴染みだが、
これが他の作品と一風違って映るのは彼女を取り巻く「魔物」「王族」達に優しさがあり、
終息に向かうにつれ確かな光明が差し込んで行くあたりだろう。
これは本当に読後感がいい。

ちなみにミミズクの言葉遣いはいかにもな「たいーたいーすごくたいーあたし人の娘ちゃうー」
と言ったアイタタ系。いつ「うにー」って言われるかと思った。しかしおいらの苦手なのは、
言葉遣いそのものじゃなくて文法的におかしな文章を喋る萌えキャラ。
「ぶつかったのが開けたから痛かったのねー」といった奴。わたくしはどんな残虐ものよりも
こういう本の方が子供には読んで欲しくないと思っている。。


余談ですが、わたくしは「ライトノベル」という名の通り、このジャンルの作品はどんなに
面白くても心に打たれるものがあっても、「読み返したい」と思った事がない。
どうやらこの作品も。。。。



べるさん、いつもありがとう^^。またこういうの紹介してくりゃさい。
最後の↑3行は気にしないでね。オチだから^^;