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猫丸先輩の空論 (ねこ3.8匹)

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倉知淳著。講談社ノベルス

猫丸先輩シリーズ第5弾。(たぶん。出版社バラバラでわかりにくい。。)
年齢・職業ともに不詳の童顔探偵猫丸先輩が、日常を”本格推理”する!イラストレーターの家の
ベランダに毎朝決まって置かれるペットボトル、交通事故現場に集結させられた無線タクシー、
密室状態のテントの中で割れ、散乱していた7個のスイカ……などなど不可解で理不尽な謎が
すらりと解かれる推理の極み6編。(裏表紙引用)


うっひゃっひゃっひゃっ。今回の猫丸先輩も暴走&推理爆裂してますねえ~。イラストだけで
笑えるこのシリーズ(子ねこの絵が可愛いのなんの)、だんだん猫丸先輩のキャラが
謎多く進化していくこのおちゃめっぷり。シリーズキャラって、普通は「ちょっと過去の
辛い恋愛経験が過今見えたり」「家族構成が見えて来たり」しませんか?しますよね?
でも、これはしないんです^^;頑ななまでに猫丸先輩は秘密キャラのまんま。ちょっとくらい
何か教えてくれよぅ。

今回好きだったのは断然「とむらい自動車」!おいらこれ、泣きそうになったんだから。
謎も一番魅力的だったし言う事ないなあ。倉知さんてばもう。次点は「子ねこを救え」。
この作品に限らず、猫丸先輩の「空論」に説得力があるのは見事な論理もさることながら、
全部全部猫丸先輩の「こうあってほしい」或いはその場を平和なものにしたい、っていう
優しさから来てるからじゃないかなー。現に猫丸先輩の周りの人達が提示する「こうじゃないか」と
いう推論にはそれがないもの。推論vs空論なんだから、猫丸先輩の方が既存ミステリのような探偵の
放つ「唯一の有り得る解答」ではないはず。
感情としての正解。それによって選ばれた読者にとっての真実を導き出している気がする。