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壺中の天国 (ねこ4.4匹)

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倉知淳著。角川文庫。

「全能にして全知の存在から電波を受信している私を妨害しないで頂きたい」ーー静かな地方都市で
奇妙な怪文書が見つかる。それは、あたかも同市で発生した通り魔殺人の犯行声明のようであった。
その後第二、第三の通り魔殺人が起こるごとに、バラ撒かれる「電波系」怪文書。果たして犯人の
真の目的は?互いに無関係に思える被害者達を結ぶ、ミッシング・リンクは存在するのか……。
(裏表紙引用)

ぐほっ。ぐはっ。ぐぎゃっ。く、倉知さ~~~~ん、素敵、素敵すぎる。
なんでこんな素敵な本を1年以上も本棚のこやしにしていたのか自分!だ、だってこれを
読んでしまうともう倉知さんの本なくなっちゃうんだもん。淋しいじゃないの。
あ、でも今は「空論」があるからね。うひうひ。(素直に分厚かったからとは言えないらしい)

いやあ、なんというか変な事件、変なお話で。被害者の繋がりが見えない連続猟奇殺人、
かなりあっちの世界にぶっ飛んだ電波系の怪文書、挿入されるおたくのフィギュア作り。。
クリーニング屋で働く一児の母、知子と娘の実歩、テレビの時事問題騒動に
文句をつけて一人芝居をする知子の父、元居候であり絵画教室の先生、正太郎、、、。
倉知さんの描く登場人物って、脇役までちゃんと個性と人間味と笑いがあって素晴らしいと思う。
物語に関係のないクリーニング屋の特許おやじが一番気に入ったぐらいだから。
事件の被害者の人間像もそれぞれリアルで、悲惨なんだけど楽しくて、
展開がパターンになってるのに飽きない。昨日読んだ森さんと比べてしまったよ^^;、
やっぱり策を労するならばトリックよりも内容だよな、なんて。

タイトルも素敵だ。厳しい現実を直視するのも大切だけれど、倉知さんの描いた「壺の中」も
これまた一つの現実。他の人が描いたら「何を甘い事言ってんだ」と思ってしまいそうなのに。

謎解きとしては自分はちょっとアレレ、なんだけども^^;
倉知ミステリは「空論」とか「推測」とかを付けた方がいいかもね、と思うのは私だけ?

でも面白かった。満足。倉知さん、好ぅきぃだぁぁぁ~~~~~~。もっと本出して^^;