すべてが猫になる

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人形式モナリザ (ねこ3.8匹)

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森博嗣著。講談社文庫。


蓼科に建つ私設博物館「人形の館」に常設されたステージで衆人環視の中、「乙女文楽」演者が謎の死を遂げた。二年前に不可解な死に方をした悪魔崇拝者。その未亡人が語る「神の白い手」。美しい避暑地で起こった白昼夢のような事件に瀬在丸紅子と保呂草順平ら阿漕荘の面々が対峙する。Vシリーズ第2弾。(裏表紙引用)

21.5.30再読書き直し。

 

初読の自分の評価が随分低い本作だが、再読してみると別に悪くなかったけどな。1作目、2作目と読んできて、S&Мよりはクセの強いシリーズだったんだな、というのを再認識した。特に保呂草さんの扱い。続けてこういう系統来るかね?そこがまたトリック、読者への罠なんだろうが。森さんの場合、無意識とは考えにくい。

 

1作目よりも紅子さんのキャラがはっきり出てきた気がする。林とはなぜ離婚したのだろう?未練タラタラではないか。林の方もそんな感じだしな。七夏と殴り合うシーンや「息子を殺してでも林を取る」と言った台詞にドン引き。紅子さんは2人の男性とキスをするし、七夏の存在もあるし、ちょっと風紀的に乱れているな~~と思いつつ、しこちゃんとれんちゃんの存在が癒しだよなあ~~とバランスの良さに気づいたりもする。

 

事件の真相は割にわかりやすく、トリックも単純。動機も森作品ならあって当然の不思議ちゃん系。ラスト一行で落としてくるあたりは好きだな。