すべてが猫になる

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少女達がいた街 (ねこ3.8匹)

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柴田よしき著。角川文庫。

1975年。ロックを愛する若者が渋谷には溢れていた。高校生のノンノは、ドラマーのチアキ
ロック喫茶に入り浸る毎日。ノンノは恋愛中の教師とディープパープルの来日公演へ出かける事に
情熱をかけ、チアキはバンドがメジャーデビュー、スターへのチャンスが目の前にぶら下がっていた。
やがてノンノはナッキーという少女と出会い、運命が変わる。
そして発生する謎の出火事件。焼け落ちたノンノの家からは2つの死体。
21年後、事件は時効となったがその謎を追い続けた刑事がいたーーーーー。


キマしたね^^v。ゆきあやのツボにどはまり。大ファン決定。

ミステリーとしての伏線には若干まだ弱い点もあり、シンプルな謎をここまで複雑にする
必要もなかったかなー、ちょっとしつこいかなー。という面はある。
ニックネームをわけありに使用しつつ、現在よくあるあのトリックを用いていないのは
自分好みではあるものの、記○○○を利用するなどちょっと狡いかな、と思わなくもない。
登場人物が全員が全員重要な役割を果たす点も、何らかの目くらまし的な、コマ役がいれば
もっと引き立ったかもしれない。

しかし、読ませる。一番ロックが面白かった時代(ニューウェーブ以前?)に、人生で一番
輝ける時を過ごしたこの少年少女達の純粋さとスレ加減がすごくハマっている。
ルーピーには興味はないが、悩みを抱えつつもがむしゃらに生きる彼女達が読んでいて
とても眩しかった。若さというのは、それだけでかくも美しいのだろう。
前半はミステリーというより青春小説、自分はもうこのまま行くのかと思った。それで良かった。
だから後半、突然21年後にスリップし、語り手が性別から年代から何から完全に
交代したのには面食らい、なかなか馴染めなかった。
最後の5転6転する展開は楽しめたものの、あまりしつこいと飽きて来るので
「意外な真相!」を売りにするならばもう少し別の手段で纏めた方がインパクトはあったかも。


いやあ、それにしても面白いわ柴田さん。。。
すいませぬ、自分は気に入りすぎると万人に向けてどうか?の判断力が停滞します。。。
う~む、でもこれ、面白いと思うんだけどなぁ。。。
女同士の醜い確執や、人間関係のどろどろさがお好きな方はぜひどうぞ^^v。