すべてが猫になる

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硝子のハンマー (ねこ4匹)

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貴志祐介著。角川書店

介護会社の役員達と数名の社員は、ある日曜日、株式上場を目前として休日出勤していた。
セキュリティ万全なビル内。命令で動く介護ロボットの実演、介護ザルなど、画期的で
先鋭的なアイデアに社内は湧き立つ。
そんな日曜の午後、厳重な密室の社長室にて社長が撲殺される。容疑は隣で同じく
昼寝をむさぼっていた専務にかかったが、彼は容疑を否認した。弁護を請け負った
青砥純子は、防犯コンサルタントの榎本径に事件の調査を依頼する。


ふんぎゃーーーーーーーーー。うきゃ。うきゃ。
……………で済めば記事も楽よのう。。。これ、ずっと前からめちゃくちゃ読みたかったんですよ。
『青の炎』から4年ぶり、しかも貴志さん初の本格ミステリ、評判も上々。我慢できん。
文庫化なんて待ってられるかぃ。来たーーー!読む。がっつり読む。面白かったーーー!!!!

ちょ、ちょっとあほ過ぎましたね^^;、では真面目に感想を。

びっくりしました、本当に本格ミステリです。真面目に謎解きです。ただ、「犯人当て」というより
トリック命、という性格の小説。実は防犯の専門的な記述には閉口しましたが、奇を衒わない、
貴志さんの真面目で丁寧な発想と描写がこの「謎一本」であるパズル小説、高度なトリックとして
成功していると思います。何を書いてもネタバレになりそうなので思わせぶりな表現すら
出来ませんが、特に第二部からが面白かった。えっ、こっち側から書くの?と驚きました。
その分、純子や榎本の推理が後ろに廻っちゃいましたが。
欲を言えば、もしかして本格ミステリの弱点である(とされている)物語性の薄さ、人間ドラマとしての
薄弱さがちょっと心配です。それだと社会派になっちゃいますが、テーマに明らかに社会問題が
盛り込まれている為そちらを意識すると物足りない面があるかも。
私は謎解きだけでも十分面白かった。満足です。