桜庭一樹著。富士見ミステリー文庫。
山田なぎさ、13歳。ひきこもりの貴公子を兄に持ち、早く大人になって独立したい、その
「弾丸」を求めて日々煩悩する少女。ある日、なぎさのクラスに不思議な転校生がやって来た。
名前は「海野藻屑」。父親は有名人の海野雅愛。名前からして有り得ないが、転校早々彼女は
自己紹介で「ぼくは人魚です。人間世界がどんなにくだらないかを確かめに来ました」とのたまう。
誰しもが見とれる美貌の藻屑にクラスメイト達は興味津々だが、なぎさだけは興味を表さなかった。
そんななぎさに何故か執心する藻屑。やがて、なぎさは藻屑が父親に虐待を受けている事実を知る。
どうでもいいが、富士見ミステリー文庫というものを初めて買った。
高い。この薄さ(200ページ弱)で500円はないだろう。。そもそもラノベコーナーの前に
立って物色しているだけでこっぱずかしいのだ。見つけたらすぐ現場を離れ、すぐレジへ
向かうに限るが、値段をレジで知って手が震えたぞ。豊富なカラーページがそんなに重要なのか?
で、内容。
beckさんとこで知って食指が動いて買ったというのが実は真相だが、彼の記事を読んでなければ
この素敵な表紙から想像もつかないほどに重く暗いテーマだった。恋愛のレの字もない。
いや、少しはあるが重要度は低い。ちょっとロリ好きが喜びそうな描写があるにはあるが
ご愛嬌と雰囲気づくり程度だ。
辛くて読めない程でもないが、あまりにも痛ましい世界である。
13歳の、逃げ場のない未熟な精神の枷がどうしようもないほどリアルで残酷だ。
このルックスとキャラはありえないが、こういう事件は現実にある。
虐待が虐待を生み、育て、取り返しのつかない事態にまで発展する。そんなニュースは
毎日のように私達の目に飛び込んで来る。
そしてこの作品は、虐待児の心理を深く説いている。
自分はそこまで考えた事がない。まだまだ知ったつもりになって憤っている事がたくさん
あるのかもしれない。
小説としては、読者には何らかの影響を与えるものはある。
しかし、主人公(なぎさ)にとってはどうだろう?
彼女は、この事件によって、藻屑の存在によって一体何を得たのだろう?
この経験が、どんなバネになるのか。私はそこが物語としては据わりの悪いものとして残った。
読み返す価値は薄い。
他の本もきっと読むけれど、今はまだ合うのか合わないのかよくわからないジャンルだ。
beckさんへ追伸。
あの問題、ゆきあや間違ってました^^。安堵してます。。
(しかし、この答えは、、有名なあのお話の女性とかぶってますね)