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死んでも治らない ー大道寺圭の事件簿ー (ねこ4匹)

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光文社文庫

元警察官の大道寺圭は、現職時代に出会った数々の「まぬけな犯罪者」達のエピソードを
綴って『死んでも治らない』という1冊の本を上梓した。本は売れないが、講演依頼も
相次ぎ有名になるのだが、困った展開も待っていた。モデルにされた犯罪者達に
つきまとわれ、事件に巻き込まれて行くのである。


びりびり来たーーーー!!!来ました!!!何が?ええ、ゆきあやのツボど真ん中の
傑作を読んでしまいました!これこれ、これなんですよ。若竹さんに求めていたものは!

まず、大道寺がいい!クール!ストイック!!!ちょっと暗い過去を思わせる、この
憂いをおびた横顔!(小説だが)そして内面に秘める芯の強さと、相反してちょっと
付け入れられやすいなよった感じがたまらない。
(さすがにどんな○○であれ女性を叩いたのには引いたが)

そして、構成。
短編形式なので、1話1話の後に別の事件が連載のように挿入されている。
どこかで1本化されて出版されたものらしいけど。
まるで2冊の小説を並行読みしているような不思議な気分に。
なるほど、最後こういう事なら、文庫化でこういう体裁にしたというのは作戦なのか?
挿入された「最後の事件」だけを読んでも十分面白いのだけれど、
1話を読むごとに「最後の事件」にちょっとした違和感が発生する。
こんなの初めて読んだ。
まぐれでなければこの発想は天才的だろう。

毒のある、心の闇を描いた小説が私は好きだ。しかし、その毒にも私の好みのバランスと
ジャンルがあって、若竹さんの描く小説ではそれが見事に調和されていると思う。
かと言って嫌らしい展開もごめんだ。
心の闇と向き合うならば、「あるある」ではなく本当に口に出せないような無自覚な
心理を描き出し、後で膝を抱えないような主人公の決め台詞で小説としてのカラーを
味わいたい。
若竹さんの小説にはそれがある。

でも「ぼくミス」は越えないけどね^^