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名探偵はどこにいる (ねこ3匹)

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原書房。「開かずの扉」シリーズ外伝、第2弾。

殺人を決意し、お揃いの赤いワンピース、お揃いの髪型、周りから区別が付かないように
変身させて、終ノ島へ向かう双子の姉妹。やがて、死体となって発見される、双子の通う
高校の教師。さらに二人は、殺人をネタにある人物から脅迫されていた。
後動の「遺志」を継いだ、刑事の今寺は、双子の無実を証明する事を命じられるがーー。


前作、「名探偵はもういない」が好きだ。
感動的なラブロマンス、人間が生きる事の喜びと哀しみ、遊び心満載の仕掛け。
そこには、私の求める「乾き」を潤す優しさと興奮と謎がいっぱい詰まっていた。
前作を読まれた方と、私の嗜好について少しは知ってる方なら「ああ、あれね」と
わかってくださるだろう。(ネタバレになるので伏せますが。ああ、言いたい。。)

というわけで、もちのろん突然刊行された本作をひじょ~~~~に楽しみにしていた。
いくつか評判を聞いたのでテンションが下がり読むのに二の足を踏んでいたのは内緒だが。
「いやいや、私は霧舎ファンだしつぼも人とは違うもんね」と強がりながら読んだが、
やはり親しい方の評価というのはたいていアテになるというオチがついた。

簡単に言うが、物足りない。。
もっと、大きな謎を!ときめくロマンを!笑える仕掛けを!
私が霧舎氏を好きなのは、文章力やトリックはいまひとつでも行間からにじみ出る作者のキャラへの
優しさと、ミステリへの愛情、私と時折一致する小さな小さな価値観、些細であり壮大な
仕掛けによるものが大きい。よくこんなこっぱずかしいネタ、キャラが書けるよなあ。という
親しみである。
今回は、明らかに上滑りだ。ここまで後動という人間を持ち上げたのが逆効果だし、
今寺刑事がかっこ良すぎ、理解ありすぎで人間らしくない。たしかにモテそうだが、
敵側にあまりにも低級の人間を出してしまっては対比としてわざとらしい。

しかし、「輪」の謎など、小さい方のパズルは私は良かったように思える。
ラストの恋愛など、結構迫って来るものがあったし。これで少しねこ点プラス。
「扉」シリーズばかりを出してくれるのが私には本望だが、この外伝シリーズも
ちょっと期待したい。
これで人間関係の方はますます複雑になりそうだけど。。