すべてが猫になる

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ブードゥー・チャイルド (ねこ3.7匹)

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角川文庫。

日下部晃士、15歳。父子家庭だった彼は、母子家庭で同い年の麻衣と4年前
家族になった。ある日、医者である父あてに謎の電話がかかってくる。電話の主である
堀井キンと名乗る女性は、「私たちの子供について話がしたい」と言うのだ。
父が浮気を!?慌てた彼は、父のふりをしてキンと会う約束をしてしまった。
一方、彼には前世の記憶があった。生まれる前の彼は黒人で、チャーリ-という
名前だったと言う。そして、ある雨の晩にバロン・サムライがやってきて
おなかをえぐられて死んでしまった。
2つの奇妙な謎の関連性は!?


ううむ。読み終わって、どこの大型新人の横溝正史賞受賞作かと思ったぜ。
これを書いたのは誰だ。ん?歌野晶午とある。ええっ、うたのしょうごと言えば
「家シリーズ」で幸先の悪いスタートを切り、「安達ヶ原の鬼密室」で暴走した
あの!?(わざとらしい)


前ふりはさておき。
こんなしっかりした小説を書いていたのか、書けるんじゃないかと思ったのが
最初。冒頭を読んでるうちはまた変な事やり出したぞ、最後だけは決めてくれよ、
とナメて読んでいたけれど。
正直、自分の誕生日があの日なのもあって背景はおおよそピンと来てしまったのと、
真相までは思い至らなかったもののちゃんとした筋があるのだろう、と
予測はつきました。でも、オカルト、宗教、○○○といったものを扱った
小説は苦手なのだけど、理解の範疇で起きた事件でありすべて説明がつくのだろう、という
心がけで読めたおかげでマイナス要素にはならなかった、好みの上で。

個人的には、小笠原慧の某作に通じるものを感じました。
私はこちらの方が好きだけど、インパクトという点では免疫があったので
それほど自分にとって影響力を与えた作品とは言いがたい。

どうしても褒めたくないのかと思われそうだけど
私は歌野作品はもっと「なってない」作品の方が好きかもしれないなあ。