すべてが猫になる

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どちらかが彼女を殺した (ねこ4.5匹)

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講談社文庫。


平凡で孤独な園子は、画家志望の潤一と出会い、交際を始めた。その後、親友の
佳世子に潤一を紹介する。それが悲劇の始まりだったーー。
最愛の妹(園子)が自殺に偽装され、彼女の部屋で殺された。愛知県警、交通課に
所属する兄の和泉康正は単独で捜査を開始、その結果容疑者を二人に絞り込む。
警察は自殺として処理しかけているが、練馬署の加賀刑事だけは殺人の疑いを持っている
ようだ。復讐のためにも、警察には殺人であることを悟られてはいけない!!


※記事どうにも書きようがないのでネタバレします。未読の方はご注意下さい。








犯人の名が最後まで明かされない、という画期的なミステリ。
「推理の手引き」なるものが親切に封入されているので、少なくとも
これを読めば(またしてもここにも名前は書かれていない!)まあ
こっちだろう、と断定できますが。
潤一、ですよね?そういう方向で以後話を進めたいと思いますが
佳世子ではないか、というご意見があれば是非お聞きしたいです。
一応、佳世子説を出している方も少数ながら発見しているのですが、
それは自分にはあまり説得力がなかったので。
「どっちともとれる」ではちょっとこの本の主旨が違ってくると思いますし。

潤一が犯人である、という根拠はもちろん最後の章で康正が指摘していた
「ゴミ箱の中」つまり、先刻佳世子が自ら破いた睡眠薬の袋。右利きか、左利きか、
という事が決め手なわけですね。

それは納得したのですが、私はどうも心理的に「なぜ殺したのか?」という点が
ひっかかっているのです。こんな事で殺人を犯すか?という意見は多かったようですが、
私はそこはまあ自分が女性ですから、AVに出演していた過去をばらす、としかも
結婚しようとしている相手の両親に、と言われたら十分殺害動機となり得るんじゃないかと
考えました。あ、いや、自分でも殺すかも、という意味ではないですよ^^;。
で、佳世子を真剣に愛していると考えるなら、納得できない動機でもないかなと。

問題は、園子が二人にあてて書いた手紙。この手紙では、そんな行為は自分を
貶めるだけだと。だからそんな事はする気はなくなったと断言しています。
これを読んでいるわけでしょう??
なぜ、それでも殺害を実行したのでしょう?そこがわからない。
信用できないとか?しかし、よっぽど追いつめられない限り、人間はそんな軽々に
殺人なんて衝動的で破滅的な行為に走らないと思うんですが。。
それは私の願望でしょうか。


ところで、この加賀刑事は素敵ですね。実は、途中で「こいつが犯人!?」と
ちらっとでも考えた事をお許し下さい。
あんたとまた酒を飲みたいから、って最高じゃないですか。
私もうこのシーンではしびれました。
東野さん、書くねえ。。。

ブログ仲間のみなさん、本作読まれてますよね?
是非感想をお聞かせくださいな。