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寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁 (ねこ3.7匹)

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光文社文庫。吉敷シリーズ第1弾。


浴室で発見された、顔の皮を剥がされた女性の死体。死亡推定時刻には、
女性は寝台特急はやぶさ」に乗っていたという。
不可能犯罪に挑む我らが吉敷刑事。続いて起きた第二、第三の殺人。
吉敷はこの完全犯罪を暴く事が出来るのかーーー。



島田さんの描くトラベル・ミステリーというのは新鮮ですね。(私には)
そうです、この西○京○郎のようなタイトルに恐れをなし、当時はこの作家を
避けまくっていたのですよ。あ、いや、西○さんは結構読んでますが^^;。

うん、でも、当時の自分がコレを読んでも良さはわからなかったと思います。
一冊だけ吉敷ものを読んだ事があるのですが、(大昔です)
「うわー、『読みにくい西○京太郎だー』」と思った事は今でも覚えています。
           ↑最初に伏せ字にした意味あるのか^^;

私の恥ずかしい過去の暴露はさておき。

御手洗シリーズとは180度違った魅力を放っている作品だと思います。
吉敷刑事のルックスと胸にたぎる情熱の魅力もさることながら、
犯人を含む事件関係者の心理描写に長けていますね。
人間というのは、環境によって形成されるのかと。
こんな理由で、ここまで愚かになれるのかと。
それぞれ大切に想う人間が存在しながら、最後の選択を誤ってしまう登場人物たち。
それを嘆く吉敷さんの哀愁までもが、この当時流行したトラベル・ミステリという枠から
一歩抜き出て、島田ミステリとして完成している気がしました。


吉敷が犯行方法と犯人を推理する所までは、及第点くらいだな、まあ1作目だし、と
態度のでかい私でしたが最後のめくるめく意外な真相に完全にノックアウト。
ここまでやらないけんよ、うんうん。

さあこれから未読の吉敷シリーズが目の前にてんこもりです。
そうですこれから読むんです。うらやましいでしょ^^。