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眩暈 (ねこ4.6匹)

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講談社文庫。

※この作品は「占星術殺人事件」のネタバレがあります。ご注意下さい。



占星術殺人事件」の愛読者である三島陶太青年が書き残した手記を持って、
御手洗潔の所へ友人である理学部科学科の古井教授が訪ねて来た。
手記の内容は奇特で、三島の精神異常を示唆するものだったが、御手洗は
全ては現実の出来事であり、理屈で説明が出来るという。
御手洗の友人、石岡和己は御手洗の指示で捜査に乗り出すがーーー。



こんなに面白いミステリを久々に読みました。………と思えばやっぱり
島田さんなわけですよ。「暗闇坂~」「水晶~」でかなり辛辣な言葉を吐いた
自分を責めたいです。やっぱり島田さんは凄かった。

結末だけ良くても私はダメなのですよ。
この本の面白さといったら1ページ目から最終ページまで病み付きなんですもの。

出だしから荒唐無稽な少年→青年の手記をかぶりつきで読み、
御手洗さんの華麗なる推理で感嘆の吐息をあげ、
石岡君のマンション潜入に心から声援を送り、
殺人のトリックの大仰さと発想に腰を抜かし、
御手洗チーム敵陣営へ乗り込むの巻では恐怖に背後を振り返り、
御手洗さんと犯人?の対決では手に汗を握り、
クライマックスでは仕掛けられたトリックの真相に拍手を贈りました。(長!)

そして何より、レオナが出て来ない。わははは。


「異邦の騎士」のようなある種の感動はないのですが、
これはどちらかというと「占星術殺人事件」を読んだ時の感情に近いかも。
トリックはね、こっちの方が好きなんですよ。(「異邦」と比べてですよ)


面白い作品に出会えると、もうこれ以上面白い本はないんじゃないか、と
いらない心配をしてしまいます。「Yの悲劇」でも「そして誰もいなくなった」でも
犬神家の一族」でも「占星術殺人事件」でも「十角館の殺人」でも同じ事を思い、
そして結局出会えているわけですが。

先入観もなになに賞も読む時期も期待しすぎたのオチも有り得ねえよもなにもかもぶっ飛ぶような、
こういう本にこれからも出会えるといいなあ。。

それを島田さんに期待するのはいけないでしょうか?^^