すべてが猫になる

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バラ迷宮 (ねこ3匹)

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講談社文庫。


二階堂蘭子シリーズ短編集第二弾~。
6編収録。


本来、短編集の記事は一作ずつコメントをつけているのですが。
「ある蒐集家の死」以外は結構似たような感想になってしまったので
今回は総評ということで。。

だいたいこのシリーズの傾向は掴めて来ました。
事件から始まるか、時間の進行通りに展開し事件が発生するか。
誰かの過去の事件の告白から始まり、一同を会して蘭子さんの謎解きが始まるか。
この3パターンですね。

たいていのミステリはこれに該当するのかもしれませんが、
このシリーズは頑として本格ミステリのスタイルを崩さないというか、
キャラの心の機微など、余計なものを排除してしまっているので
形式化しているなあ、とわざわざ思ってしまうのですね。


そうなると読みどころはトリック一本。
事件そのものは不可能犯罪目白押しで良いのですが、
こういうトリックばかりだと。。つっこみどころはないけれど、
謎が解けたというあの清涼感のようなものが自分に発生しない。
カーのように、たとえ失敗したとしてもたまには冒険してみるのも一興だと
思うのです。わはは有り得ねー!ぐらいは言わせて欲しい。
って、わがままですかねえ。。


一転、4作目である「ある蒐集家の死」は良かったです。
血の因縁ではなく、ミッシングリンクものというのですか。
二階堂さんにこういうのは珍しかった気がします。
トリックは、もしかしたら他でもこういうのがあるのかもしれませんが、
単純で目が覚めるというか。こういうのなら大好き。

まだ6作しか読んでいないので何ですが、
二階堂さんの貫いて来たものが正しかった、そういう作品がこの先に
待っていることを信じてこれからも読み続けることになるでしょう。