すべてが猫になる

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アウトサイダー/The Outsider  (ねこ4匹)

スティーヴン・キング著。白石朗訳。文藝春秋Kindle)。

平穏な町で起きた、11歳の少年の惨殺事件。ラルフたち地元警察は、複数の目撃証言を得て、高校の教師で少年野球のコーチとしても慕われるテリーを逮捕した。しかし、彼には完璧なアリバイがあることが判明する。自身の潔白を主張するテリー。一方で、異常犯罪への憎悪を募らせる遺族と住民たち。そして、町を新たな悲劇が襲う。(上巻紹介文引用)
 
旅行にちょうどいいと思って、初めて小説をKindleで買ってみた。特に紙の本に劣るものはなくいい感じ。
 
今回のキング本は犯罪ミステリー。特に上巻はほとんどミステリーと言ってもいいかも。少年を残酷に殺害した犯人を少年野球のコーチと断定した刑事らは、衆人環視の野球の試合中に犯人テリーを逮捕。しかし目撃証言や指紋、DNAの一致という確固たる証拠がありながら、テリーには確実なアリバイがあった……。
 
本格ミステリーならその鉄壁のアリバイをどう崩すか、というストーリーになるところだがそこはやはりキング。2箇所に同時に存在する人間というものの正体をじっくりねっとり時間をかけて暴いてくれる。アウトサイダーによって不幸のどん底に叩き落とされた人々の人生を立て直しながら。そしてあの三部作からあの人が登場!後半はすっかりそのキャラクターが主人公となり大活躍。もちろんキングのあの世界観との繋がりもあったり、ファンがとことん楽しめるエンタメ作品に。終わり方も、最近のキングはずっとこういう感じで良き。悪者を倒してばんざい、じゃないからねえ。
 
ということで、長いけれどなかなかの力作でございました。今年最後の読書感想記事にふさわしいものを読めたかな。