すべてが猫になる

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クスノキの番人  (ねこ3.6匹)

東野圭吾著。実業之日本社文庫。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。 そこへ弁護士が現れ、依頼人に従うなら釈放すると提案があった。 心当たりはないが話に乗り、依頼人の待つ場所へ向かうと伯母だという女性が待っていて玲斗に命令する。 「あなたにしてもらいたいこと、それはクスノキの番人です」と……。 そのクスノキには不思議な言伝えがあった。(裏表紙引用)
 
東野さんの文庫新刊。
むむぅ、サスペンス的なものが読みたい気分だったのだが…コッチの東野さんかあ、とちょっと(かなり)がっかりした。まあ、感動系ヒューマン系殺人起こらない系?
 
主人公が好感持てないタイプ。生い立ちに情状の余地はあるものの、窃盗で捕まったりするだらしない青年で、自分は不倫の果てに生まれた人間だからとやたら卑下するし。その割にエラい人の前で演説ぶったりクスノキの祈念者の心理とかを裏読みできたり、
この賢さと人柄のバランス取れてないな~って思っちゃう。ヒロインの優美のキャラクターも相変わらずなってないというか。。図々しいし強引だし、倫理に悖ることを玲斗に強要したりするし。だから優美に惚れるって設定じゃないと確かに言う事を聞く道理はないのかもしれないけど。この要素いらね~。
クスノキの秘密もそのまんまだったしなあ。。神社だし、神秘的でパワースポットとして話題になる神木、っていうのはありそうだからいいとしても。。なんじゃそりゃ、って感じ。
 
まあしかしそこは東野さんなので読んでいてつまらないってほどでもなく、スラスラと読めるし玲斗と千舟さんとの関係なんかは心あったまった。ラッキーだよね、玲斗は。環境が人を創るって真理だよなあと思った。人にはそれぞれ事情があって思いがあるっていうドラマを色々と見せてくれるいい作品なんだと思う。