すべてが猫になる

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終活中毒  (ねこ3.7匹)

秋吉理香子著。実業之日本社

人生は、いつでも大どんでん返し。 たとえ、余命わずかでも―― 最高の最期(エンディング)、始めますか? あなたの心に火を灯す驚愕×号泣ミステリ―! ゾッとする終活、理想的な終活、人生を賭けた終活… 4人の〈終活〉に待っていたサプライズとは? 40代女性―余命をSDGs活動につぎ込む資産家の妻に望むのは…(「SDGsな終活」) 60代男性―妻の三回忌のため息子と家のリフォームを始めたが…(「最後の終活」) 60代女性―ベストセラー作家の遺品に心を乱された理由は?(「小説家の終活」) 40代男性―売れない芸人の終活はお笑いグランプリの挑戦で…(「お笑いの死神」)(紹介文引用)
 
「婚活中毒」に続く秋吉さんの中毒シリーズ。(お話は繋がっていない)
余命わずかの人々にまつわるちょっと怖くて切ない終活ストーリー4編。テーマの割にサラっと読みやすくてどれもなかなか良かった。
 
SDGsな終活」
SDGsとは何ぞや、なんて人はさすがにもういらっしゃらないか。余命わずかのアラフィフ独身大金持ち女性と金目当ての結婚詐欺師のお話。といっても本当に結婚はするから遺産相続詐欺??SDGs、いいことのはずなんだけど同居人がここまでそれに徹底してたらしんどいかもねえ。愛はないんだし。バレ方がストレートすぎてひねりはないけれど、最後なかなかの恐ろしさ。。
 
「最後の終活」
終活に最初とか最後とかあるの?と思った。妻が事故死し、息子と疎遠になっていた男が終活を通じて息子とやっと心を通い合わせるようになった。途中までほっこり読みつつ、ああこの息子なんかあるんだろうな~~と思わせる不穏さも。思っていたのより斜め上の真相だった、今の時代に合う結末だったかな。ちょっと都合のいい子ども像だと思うけどねえ。現実ならこんな親にこんな思いは抱かないかと。。
 
「小説家の終活」
かつてヒットを放ち今は書けなくなった作家と、売れっ子のライバル小説家。ライバルが亡くなりある形見を貰ったことで、自分に大きなチャンスが訪れる。これは主人公がどう決断するか見ものだった。返り咲くきっかけ、著作権放棄、故人の遺志とはいえ、自分の作品でないものを自分名義で出すって違うんじゃないかなー。。と思っていたのだが…
 
「お笑いの死神」
売れないピン芸人の男に告げられた余命宣告。愛する妻と娘に恵まれこれからという時だったのに。。死ぬ前に一花咲かせようと賞レースへの参加を決意するが…。死神と呼ばれる謎の男は登場するものの、感動ほっこり物語。ミステリー的な真相もあり、なかなかの読み応え。
 
以上。
前半は毒が強めかな。でも1編目以外は割といい気分で読み終えられるお話だった。先が読めやすい気はするが、最後に持っていかれる感じ。サクっと何かしんどくないものを読みたい時にいいかも。