すべてが猫になる

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嘘は校舎のいたるところに/The Lies You Told  (ねこ3.9匹)

ハリエット・タイス著。服部京子訳。ハヤカワ文庫。

夫に家を追い出され、ロンドンに戻ってきた弁護士のセイディ。娘ロビンと暮らすため、亡き母の家に住み、嫌っていた母校に娘を通わせることになる。学校で起きた性犯罪として世間の注目を集める裁判を担当しながら、生徒の母親たちと親交を深めようとするセイディだったが、彼女は母親同士の権力争いに巻き込まれてしまう。そして、ロビンが学校でいじめにあっていることが判明し……家庭と学校で複雑に展開するミステリ。(裏表紙引用)
 
初読み作家さん。これ2作目なのね(シリーズものじゃないけど)。長いけど読みやすくてなかなか面白かった。
 
主人公は弁護士ママのセイディ。理由もわからず夫に追い出され、娘を連れてアメリカからロンドンへ。亡き母からの遺言により、娘をセイディの母校に通わせなければ娘は遺産を受け取れない。いやな思い出しかないアシェイムズ校へ娘ロビンを入学させたものの、そこはセイディにとってもロビンにとっても地獄そのものだった。ママたち全員に敵意を向けられる中、仕事に復帰したセイディだが…。
 
まあコメディ要素でもあるのか、誰でもセイディが鈍臭すぎて最初はイライラしっぱなしになると思う。誰も手をつけていない料理を持って帰ろうとしたり、パーティーで両手両足を大の字に広げて転んだり。そんな大人いる?^^;ママ友軍団が意地悪すぎるとはいえ、誤解の解き方も下手くそだし、ロビンが辛い思いしているのになんとかなる、で済まそうとするし。本当にこの人、弁護士なのかしら。。。
学校で起きた大事件と、セイディが受け持っている性犯罪教師事件が並行して展開していくのだけど、性犯罪のほうはだいたい先が読める。ので、地雷のあるほうあるほうに進むセイディにまたもやここでイライラ。スマホの充電が1,2%しかない状況って普通あんまりないよねえ。。なんで男の家に1人で行くのか。。などなど。わざとやってるの?と思わせる鈍感&ルーズぶり。
 
でも、学校で起きた事件のほうは全然分からなかった。ママ友はとにかく怪しいかぎりなんだけど、もしそうだとしても動機が異常すぎるし。ひどい別れ方をした夫の裏事情なんかも判明するので、それと同時進行で全部解決していくからテンポはすごくいい。前半と後半でかなり印象が変わった。最後まで読んで良かったと思う。邦題もいいし。著者の他の作品も読もうかな。