すべてが猫になる

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Ank : a mirroring ape  (ねこ3.8匹)

佐藤究著。講談社文庫。

二〇二六年、京都で大暴動が起きる。京都暴動―人種国籍を超えて目の前の他人を襲う悪夢。原因はウイルス、化学物質、テロでもなく、一頭のチンパンジーだった。未知の災厄に立ち向かう霊長類研究者・鈴木望が見た真実とは…。吉川英治文学新人賞大藪春彦賞、ダブル受賞の超弩級エンタメ小説!(裏表紙引用)
 
佐藤究さん2冊目。前作が面白かったので、ちょっと分厚いこの作品にも手を出してみた。最初はとっつきにくくて難しいなと全然進まなかったのだが、人間同士が京都のあちこちで暴動を起こし始めた100ページ目くらいから俄然覚醒。ウイルスでもテロでもない、日本で起きる激しすぎるほどの暴力の描写の連続にあれよあれよと読まされてしまった。多分内容の半分も理解していないしチンパンジーやDNAの薀蓄自体はほとんど流し読みも同然だったのだが、、、わけわからなくてもとても面白い。研究者の望やサイエンス・ライターのケイティの人生の深堀りがあったのが良かったのかも。エンタメ本として見た場合、暴動の収束の付け方とかが適当で、方向性が学術的な真実のほうに寄ってしまっているのでなんだか振り回された感じ。