すべてが猫になる

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カケラ  (ねこ3.5匹)

湊かなえ著。集英社文庫

美容外科医の橘久乃は幼馴染みの志保から「痩せたい」という相談を受ける。カウンセリング中に出てきたのは、太っていた同級生・横網八重子の思い出と、その娘の有羽が自殺したという情報だった。少女の死をめぐり、食い違う人びとの証言と、見え隠れする自己正当化の声。有羽を追いつめたものは果たしていったい――。周囲の目と自意識によって作られる評価の恐ろしさを描くミステリー長編。(裏表紙引用)
 
う~~~…ん?なんだかモヤぁ~っとする小説だった。整形がテーマということで、さぞ女のイヤ~な部分が噴出しまくった湊さんらしいイヤミスなんだろうなと。まあそのとおりなんだけど、ちょっと期待していたようなのとは違ったかな?
 
ほぼ全ての章が独白形式。それぞれの登場人物が、美容外科医の久乃のインタビューを受けている形なんだけど、久乃側のセリフは一切なし。だから全員が矢継ぎ早にほぼ1人でババ~っと話してる感じ。久乃の目的が分からないままなので、彼らから何を引き出そうとしているのかも分からないし終始モヤモヤ(なお、このモヤモヤは読後も解消されない)。なんというか、全員が同じ性格をしてるんだよね。とにかく学生時代の久乃に文句があって、対面で本人にその愚痴を堂々と言う、そして自分の家庭環境や見た目の話ばっかり。面と向かって本人にイヤな言葉ぶつける人間が1人の人間の周りにこんなにいるはずないだろう。。それか、どんだけ嫌われてたんだ久乃。なんかイヤな人間を描くことだけが目的になっていてリアリティとか整合性とかどっかに置いてきちゃった感じ。誰が誰だか分からなくなるのも、こういうの良くないよな~と思った。というわけで、今回の湊さんはややハズレでした。