すべてが猫になる

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オクトーバー・リスト/The October List  (ねこ4匹)

ジェフリー・ディーヴァー著。土屋晃訳。文春文庫。

本書は最終章で始まる。娘を誘拐され、秘密リストの引き渡しを要求されたガブリエラ。隠れ家で仲間を待つ彼女がドアを開けたとき、そこにいたのは銃を手にした誘拐犯だった。だがご用心、全ては見かけ通りではない。章ごとに時間は逆行、真相が明かされるのはラスト2章!前人未踏の超絶技巧サスペンス。序文・阿津川辰海。
 
リンカーン・ライムシリーズ以外のディーヴァー作品を読むのは2冊目。シリーズもの以外は読むつもりはなかったのだけど、去年のランキングに入っていたのでどんなものかなと。
 
娘を誘拐された投資会社社員の女性(ガブリエラ)が、数日前知り合ったベンチャー投資家の男(ダニエル)らと共に誘拐犯に犯罪者リスト(オクトーバー・リスト)と金を渡し娘を取り返そうとしているシーンから始まる話。章ごとに時間が逆行していくので事態を把握するのが大変かと思いきや、時系列がバラバラのものを読むよりは分かりやすかったかも。次の章ですぐ前の章の行動や言動の理由が分かるので。もともと「見かけ通りではない」というネタバレのような警告があるので、書いてあることを疑ってかかって読むわけだし、サプライズがあると分かっていて読むサプライズは余程意外性がないと厳しいと思う。
 
それでも普通に驚いたし、なにより分かっていてもこういう構成のものを書けるということが凄いと思う。普通なら本の最初に掲載されるべきあるものが最後にあるのも粋な感じ。あっという間に読めちゃった、ライムシリーズとは全く違う楽しみ方ができて、ディーヴァーの引き出しの多さに感心した1作でした。