すべてが猫になる

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窓辺の愛書家/The Postscript Murders  (ねこ3.8匹)

エリー・グリフィス著。上條ひろみ訳。創元推理文庫

本好きの老婦人ペギーが死んだ。彼女は「殺人コンサルタント」を名乗り、数多くの推理作家の執筆に協力していた。死因は心臓発作だが、介護士ナタルカは不審に思い、刑事ハービンダーに相談しつつ友人二人と真相を探りはじめる。だがペギーの部屋を調べていると、覆面の人物が銃を手に入ってきて、ある推理小説を奪って消えた。謎の人物は誰で、なぜそんな行動を? 『見知らぬ人』の著者が本や出版をテーマに描く傑作謎解きミステリ。(紹介文引用)
 
前作「見知らぬ人」がなかなか良かったのでこちらも。うん、またしてもなかなか良かったかな。。
 
高齢者向け共同住宅<シーヴュー・コート>に住むミステリ好きの老婦人ペギーが自室で亡くなった。死因は心臓麻痺と判断されたが、ウクライナ介護士ナタルカは「彼女の死は殺人ではないか」と警察に相談する。最初は相手にされなかったナタルカだが、彼女とカフェオーナーベネディクト、元BBC職員エドウィンがペギーの部屋で覆面の暴漢に拳銃を向けられる。インド人の部長刑事ハービンダーも動き出したが、次の殺人が…。
 
作家たちに送りつけられたポストカードの脅迫文、怪しさが服を着て歩いているようなペギーの息子、ナタルカの過激すぎる過去など色々な要素を散りばめていて面白い。ハービンダー刑事が実はレズビアンであるとか、3人の老探偵が絆を強めていくとか、作家や出版社の裏事情とか、サイドストーリーの方もしっかりしていてキャラクターシリーズ風味も強い。雑談が多いため、どうしても注釈が増えるのはいただけなかったが。。ウクライナ情勢なども絡んでいてリアルな一面も。
 
犯人の意外性ありバラ撒かれたミスリードの種明かしありで古き良きミステリーという感じ。