すべてが猫になる

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ネオカル日和  (ねこ3.7匹)

辻村深月著。講談社文庫。

小学生の頃、図書室で出会った本の記憶。夏休み、訪れた田舎で出会った古い土蔵。放課後、友達と買い食いした駄菓子屋。すべてはこの世の物語を紡ぐために。日本の新文化を徹底取材したルポを中心に著者が本当に好きな物だけを詰め込んだエッセイ集。掌編&短編小説4本も特別収録する贅沢すぎる玉手箱。(裏表紙引用)
 
辻村さんの初エッセイ集。前回読んだ「図書室で暮らしたい」がなかなか良かったのでこちらも読んでみた。表紙がカワイイ。新聞連載を集めたものと、ショートショート&短篇。
 
本書では藤子・F・不二雄先生への愛がふんだんに詰まっている。大山のぶ代さんとの対談(すごい!)やドラえもん映画への深い造詣、思い入れなどその情熱は尊敬の域に値する。私は毎週アニメを観ていたし、コミックスも20冊くらい持っていて繰り返し読んだ。「パーマン」も観ていて、こちらは何冊か持っているだけだったかな?パーマン3号が好きで、持っていたペンケースに星野スミレのサインを真似して書いたことまである。でも最終回の話は知らなくて驚いた。ふーん、そうか、3号は1号のことを…へ~え。そういうわけでとても楽しく読めたのだが、実は映画ドラえもんは観たことがない。このエッセイを読んでいると観てみようかな…と思わせるから不思議だ。本では今だに読んだことのない「モモ」やこれまた読んだことのないズッコケ三人組が気になった。
 
他にも辻村さんの趣味全開のネタが詰まっている。ガンダムポケモン銀河鉄道999、フジロック、パワースポットとベタベタなものばかり続くので意外と辻村さんってミーハーなのね…とチラっと思ってしまったことは謝りたい。もちろんそうではないことは承知よ。
 
あとはショートショートや既読の短篇(覚えていなかったが)、未読の短篇なども収録。たい焼きのお話が切なくて良かったけど他はそれほどかも。
 
全体的には「図書室~」のほうが読みやすくて楽しかった。けど本や漫画などを愛するあまり作るほうへもシフトし、直木賞受賞。誰でも愛さえあれば叶うことではないのでやはりその才能には素直に敬服する。