すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

ロボット・イン・ザ・ガーデン/A Robot in the Garden  (ねこ4匹)

f:id:yukiaya1031jp:20210719191335j:plain

デボラ・インストール著。松原葉子訳。小学館文庫。

AI(人工知能)の開発が進み、家事や仕事に従事するアンドロイドが日々モデルチェンジする、近未来のイギリス南部の村。法廷弁護士としてバリバリ働く妻エイミーとは対照的に、仕事も家事もせず親から譲り受けた家で漫然と過ごす34歳のベン。エイミーはそんな夫に苛立ち、夫婦はもはや崩壊寸前。 ある朝、ベンは自宅の庭で壊れかけのロボットのタングを見つける。「四角い胴体に四角い頭」という、あまりにもレトロな風体のタング。けれど巷に溢れるアンドロイドにはない「何か」をタングに感じたベンは、彼を直してやるため、作り主を探そうとアメリカに向かう。そこから、中年ダメ男と時代遅れのロボットの珍道中が始まった……。 「とにかくタングがかわいい!」と世界中の読者を虜にしている、抱きしめたいほど切ない物語。(裏表紙引用)
 
タング、か、か、かわいい………。。
 
表紙とあらすじを確認しただけで、あ、これ絶対自分気に入るなと思ったのが的中。主人公のベンはどうしようもない男で、何も成し遂げない、動かない、頼りない。妻のエミリーには見切りをつけられ離婚されてしまったベン、だけど庭に現れたポンコツロボット「タング」に夢中になってしまう。彼を直すために、柵も直さない仕事もしないあのベンがタングと共に世界半周!タングが他のロボットと違うところは、学習機能があって「心」があること。まるで子育てをするようにタングに言葉や世の中の仕組みを教え、すっかり二人の間には絆が生まれた。
 
タングを連れて、制作会社や専門家、色々な人に積極的に会うベン。最初はだらしない男だなあ、と思っていたのがだんだんと印象が変わって行く。いや、印象が変わるというより、ベン自身が旅を通じて成長していくのがいい。今のベンなら絶対に別れたりしないだろうエミリーとの復縁がどうなるのかも読みどころ。エミリーには既に新カレがいたりと難題も多いが他の人々の支えや応援もあってベンの生活が立て直されていく。
エミリーってほんと男見る目がないんだな、と思ったりもしたけれど、新家族の誕生もあって最後はまるく収まって良かった。ていうか籍はちゃんとしなさいよベン。と思うのは自分が日本人だからか。
 
ストーリーもほんわかと楽しいけれど、とにかくタングがかわいい。拗ねたらすぐパカっと開くフラップの補修ガムテープをいじるところも、ひどい料理に挑戦するところも、エスカレーターで延々と謎の遊びをするところも、こわいくせに深夜勝手に「ターミネーター」を観るところも。。萌え~。
 
映像化たのしみ!
そしてシリーズ4作まで出ているようなので早速大人買いしたいと思います。