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七人の鬼ごっこ  (ねこ3.7匹)

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三津田信三著。光文社文庫

一人の自殺志願者が、多量の血痕を残し姿を消した。男は毎日一人ずつ旧友に電話をかけ、相手が出なければ首を吊る「死のゲーム」をしていたらしいのだが…。やがて、彼の幼馴染が次々と謎の死を遂げ始める!仲間の一人だった作家は、事件を追ううち、心の奥に封印された少年時代の忌まわしい記憶へと辿り着く。錯綜する推理の先に立ち現れる驚愕の真相とは?三転四転する推理!炸裂する三津田マジック!!(裏表紙引用)
 
最近立て続けに読んでいる三津田作品。今作は、如きものシリーズを彷彿とさせるようなホラーとミステリが一体となった長編。
 
自殺志願者を救うための団体、「生命の電話」にかかってきた一本の電話。電話の主の男は自殺を考えているというが、一週間かけ一日一人ずつ、旧友に電話をかけ、繋がればその日は自殺を思いとどまるという「死のゲーム」を決行していた。相談員の女性は男が自殺を図っている場所が瓢箪山だと当たりをつけ、精神保健福祉センターに連絡する。センター職員2人が捜索を始めるも、男らしき人物は崖から転落したようなのに姿が見当たらない。状況から殺人事件の可能性が浮上し、警察が動き始める。ホラーミステリ作家の速水もその電話を受けた旧友の一人だったが…。
 
なかなかしっかりした構成で、読み応えあり。末期ガンの男をなぜ慌てて殺さなければいけなかったのか?旧友たちの中に犯人がいるのか?1人足りない旧友とは一体誰か?など、ミステリとしてワクワクする謎がてんこもり。過去の遊びに何か因縁があるのは分かるが、その真相もなかなか一筋縄ではいかない感じ。出てきた登場人物すべてがお話になんらかの関わりがあるのも意外なところ。ここで結びつくのか、という要素がいくつもあった。推理が二転三転するのも如きものシリーズっぽい。(実際名前も出てくる)。死相学探偵とも世界が地続きな雰囲気なのでそのへんもうまいなあと思ったり。ホラーというよりミステリの三津田さんが好きな人はこれいいかも。