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八獄の界 死相学探偵6  (ねこ3.8匹)

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三津田信三著。角川ホラー文庫

黒術師を崇拝する者たちがいる。黒い欲望を持った人々を犯罪へいざなう、恐るべき呪術の使い手・“黒術師”。黒捜課の曲矢刑事から、黒術師が崇拝者を集めたバスツアーを主催すると聞かされた俊一郎は、潜入捜査を手伝うことに。危険を承知で潜入した俊一郎だったが、バスツアーの参加者全員に、くっきりと死相が視えていて―。俊一郎たち参加者を次々と襲う、怪事件の真相は!?「死相学探偵」シリーズ、絶体絶命の第6弾!! (裏表紙引用)
 
死相学探偵シリーズ第6弾。
 
前作がちょっとアレだったのでアレだったのだが、この作品はなかなか良かった!
 
今回は黒術師の存在が全面に出てきている(全く登場はしないが)。黒術師を崇拝するネット民を集めて、「黒のミステリーツアー」なる企画を決行するのだ。バスツアーに集まった8人と、捜査として潜入させられた俊一郎。何も知らない運転手一名と共に、ネット環境から遮断される呪符を付けたクセ者ぞろいの参加者とともに目的地不明のツアーは出発した。しかしバス転落事故、避難所での連続殺人事件、襲いかかる霧…俊一郎絶体絶命!
 
これは本格ミステリファンにはよだれが出そうな設定。ホラー映画ファンがニヤリとするような要素も詰まっていて、さすがホラーミステリの第一人者・三津田さんの作品という感じ。死相が一番薄かった男が真っ先に殺されたり、謎もたくさん。あだ名で呼び合う参加者たちが1人ずついなくなったり内部分裂したり、パニック状態の中、最年少の小林くんやまとめ役の委員長が「探偵(犯人)は誰だ」と推理を披露しあう。探偵ではあるが犯人ではない俊一郎がみんなにどう説明すれば分かってもらえるか、ヤキモキしていて面白い。
 
真相は本格ミステリというよりホラー寄りではあるが、意外性があって良いと思う。ばあちゃんとの漫才が薄かったのは残念だけど、前半と後半で雰囲気がガラっと変わるのも飽きさせないしエンタメとしては最高の内容。次作も期待。