D・H・ウィルソン&J・J・アダムズ編。中原尚哉・古沢嘉通訳。創元SF文庫。
『紙の動物園』のケン・リュウ、『All You Need Is Kill』の桜坂洋、『火星の人』のアンディ・ウィアーら、現代SFを牽引する豪華執筆陣が集結。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、星雲賞受賞作家たちが、ビデオゲームと小説の新たな可能性に挑む。本邦初訳10編を含む全12編を厳選した、傑作オリジナルSFアンソロジー。(裏表紙引用)
「リスポーン」桜坂洋
牛丼屋のおれ、強盗のおれ、ヤクザのおれ。殺されるたびに目の前の人間に生まれ変わるおれ。テンポいいし楽しい。両親や大男の優しさにホロリときてるおれがなんだか愛おしい。暴力的な内容だけどコミカル。
「救助よろ」デヴィッド・バー・カートリー
大学生のメグは、恋人のデボンがオンラインゲームにハマって大学まで辞めてしまったことに嘆き同じゲームを買ってログインするが…。リアルにこういうカップルいそう。リアル絶対主義のメグが、現実を知って主義を変えるんだな。。案外新しいものって影響大。
「1アップ」ホリー・ブラック
ネットの友人からの葬儀の招待を受けた3人だが、継母の態度がおかしい。彼が残したゲームをクリアできるか。ミステリの要素あり、新しい友情の形あり。
「NPC」チャールズ・ユウ
「猫の王権」チャーリー・ジェーン・アンダース
同性カップルの片方シェアリーが脳に障害、そして引きこもりに。恋人が箱庭シミュレーションゲーム「猫の王権」を買ってからシェアリーはランキング入りし、コンベンションに招かれる。。取り残されたパートナーたち。シェアリーの視線の意味。
「神モード」ダニエル・H・ウィルソン
「リコイル!」ミッキー・ニールソン
リコイル=反動。ゲームの新開発に参加したジミーのところへ強盗侵入、そして殺人目撃。ジミーは無事脱出できるか。これのオチは読めるけれど、深かった。リコイルだけではない何かを感じることこそ人間の心、なんだろうな。
シリーズもののスピンオフらしい。いとこがインストールした悪意あるゲーム。面白そうだけど、リアルに身体が動かないってのはナシだなあ。
「キャラクター選択」ヒュー・ハウイー
産休中の母親が夫のいない間にFPSゲーム。たった1時間赤ん坊が寝ている間にゲームをすることにさえ罪悪感を感じなきゃいけないのか。夫横からごちゃごちゃうるさいし。女のやることを下に見てる男に対してスカっとするオチ。
「ツウォリア」アンディ・ウィアー
「アンダのゲーム」コリイ・ドクトロウ
「エンダーのゲーム」読んどいて良かった。リアルでは冴えない少女・アンダが憧れのゲーム集団に加入した。そこでリアルマネーが稼げる方法を教わったが…。ゲームで学んだことがリアルにつながったのか、リアルで追い詰められた事実が少女をゲームでも変えたのか。
「時計仕掛けの兵隊」ケン・リュウ
バウンティ・ハンターのアレックスと、自動人形スプリングの物語。スプリングの短篇ゲームからもアレックスの会話からもどこに着地するのか分からないのがいい。人間並に発達したドロイドの感情をどれだけ表現しようとも違和感を覚えるように描かれているよね、どんな作品でも。