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鉄の骨  (ねこ3.8匹)

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池井戸潤著。講談社文庫。

中堅ゼネコン・一松組の若手、富島平太が異動した先は“談合課”と揶揄される、大口公共事業の受注部署だった。今度の地下鉄工事を取らないと、ウチが傾く―技術力を武器に真正面から入札に挑もうとする平太らの前に「談合」の壁が。組織に殉じるか、正義を信じるか。吉川英治文学新人賞に輝いた白熱の人間ドラマ。(裏表紙引用)
 
適当に面白そうだと思って読んだ本なのだけど、今まで読んできた勧善懲悪のスカっとする池井戸作品とは違った。あらすじぐらい読んどくべきだったんだろうけど、まさか「談合」をテーマにした小説だったとは。。まあ読み始めたので頑張って読むしかないということで。そもそも「談合」について自分には全然知識がないからなあ。なので、まず「談合」についてサラっと理解してからでないとサッパリ分からない。そこまでがメモ取るなどして話に乗るのが大変だったけど、まあ主人公平太と恋人の銀行員萌のパートも結構あったのでなんとかそこは気楽に。
 
中堅ゼネコン一松組で現場で活躍する平太が、なぜか突然「談合課」と呼ばれる業務課へ異動させられた。右も左も分からない中、「談合」という犯罪にいち会社員として関わり、懊悩しながらも成長していく。真野建設や村田組などのライバルをおさえ、さらに談合に関与したがらないトキワ土建に打ち勝つことができるのか。談合は本当に必要悪なのか。簡単に言えばそういう話だが、天皇と呼ばれる談合界のフィクサーとの奇妙な関係やボンクラ社長の言いなりにならない課員の西田、兼松の存在が物語に厚みを加えていく。ひょうきん者だが仕事のできる熱血漢の西田は主人公よりも好きだったなー。入札の行方よりもこの物語の最後に明かされる事実にビックリ。。
 
そして平太の彼女、萌の物語でもある。エリートの園田、ほんとイヤな奴だったなあ。しかし、長い付き合いの平太の悪いところがだんだん見えてきて、言い寄ってきた憧れのエリートに傾くまではいいとしても、優柔不断でイライラする。正反対の男が最初は新鮮に見えても、またイヤなところが見えて結局やっぱアッチのほうが良かった、みたいなことでしょ。。まあ、恋愛ってこういうものだと思うし揺れ動くのは分からなくもないが。園田も真からイヤな奴じゃなくて良かったけど。平太なら受け入れるんだろうね。はてさてどうなったのかな。ていうか女の人生って男Aを選ぶか男Bを選ぶかでしか計れないのかな。。萌ならどっちもダメになっても前に進めそうだけど。
 
ということで、長いし結構難しくてしんどかったけどそれなりに読んで良かったと思える達成感はあったかな。もう一回読もうとは思わんが。。