すべてが猫になる

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それでも、警官は微笑う (ねこ2.9匹)

日明恩(たちもり・めぐみ)著。第25回受賞作。


「キチク」と恐れられる武本と、お坊ちゃん警部補の二人がコンビを組み、
裏で暗躍する銃と麻薬の巨大組織に関わって行く。同時に、麻薬捜査官との
軋轢問題がからんでーーーー。


月並みですが、面白かったです。
本当に女性作家の作品かと思うほど、泥くさく熱い警察小説。そこに、さすがは
女性作家の緻密でリアルな心理描写が加わり、完成度は高いですね。
特に、武本の上司である潮崎警部補の存在感は(笑)。とにかくすごいお気楽で
おしゃべりでノンキでさらにミステリマニア。多くの読者が潮崎の弁舌に「唖然」と
したことでしょう。この潮崎の登場で、もう「もらった」という感じですね。


ーーーしかし。
読み進めるにつれて確かに感じるこの物足りなさはなぜ?

武本が潮崎の圧倒的な個性にのまれている点。
ストーリーが一本調子で、これといった意外性、目新しさに欠ける点。
麻薬捜査官、宮田が「なんで脇役にしたの?」というくらい魅力的で、
彼が半分このストーリーを動かしている点。
あと、これに関しては個人的な主観の違いですが、武本のポリシーが
(「やらずに後悔するより、やって後悔しろ」など)平凡の域を出てない点。
余談かな、自分は「やって後悔するのは誰でもできるよ」という考えの持ち主なので。。
(ニュアンスは違うのかもしれませんが)


けなしちゃいましたが、なんかね~~、よく出来てるし面白いんだけど。。。
手放しで褒めるほど、残るものがなかったですねえ。。
人間が描けてるだけに、惜しい。宮田の恋人とか、最後びっくりしたもんね。

頼む、化けてくれ!